出版社内容情報
飛行機事故に隠された赤ん坊のすり替え、鎖でつながれた拷問死体、相次ぐ放火……敏腕記者が錯綜する事件の謎を解き明かす。CWA賞受賞作家が放つ傑作英国本格ミステリ!
内容説明
27年前、米空軍の輸送機が農場に墜落した。この事故で九死に一生を得たマギーは、とっさに乗客の死んだ赤ん坊と自分の息子をすり替えていた。なぜ我が子を手放したのか?少女の失踪や不法入国者を取材しながら真相を探るドライデンは、拷問された男の死体を見つけてしまい…。大旱魃にあえぐ沼沢地を舞台に、敏腕記者が錯綜する謎を解き明かす。CWA賞受賞作家が贈る傑作。
著者等紹介
ケリー,ジム[ケリー,ジム][Kelly,Jim]
英国生まれの元ジャーナリスト。2002年に自身の新聞記者としての経験を生かして執筆した『水時計』でデビュー。2006年に図書館員によって選ばれる英国推理作家協会(CWA)の図書館賞を受賞
玉木亨[タマキトオル]
1962年東京都生まれ。慶應大学経済学部卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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geshi
27
渇いた暑さと炎の熱さの空気は嫌ってほど伝わる。人物描写、特にドライデンとハンフの欠けている者同士の関係が丁寧に描かれているが、謎がはっきり出てくるまでが遅すぎて冗長に思えてしまう。少女の失踪とポルノ写真、不法入国者問題を絡ませながら、布石を置いて錯綜しそうな話をうまくまとめるストーリーテリングは確か。ラスト30頁で全てを落とそうとして強引に持っていった感じ。ローラのメッセージや鍵の使い所がエモーショナルに響き、終わり良ければ全て良し的になっている。2016/05/05
シキモリ
25
シリーズ第二作目。二十七年前の米軍機墜落事故の渦中に発生した新生児すり替え問題を主軸に、そこへ違法ポルノ流出事件と不法入国者問題が絡み合い、物語はどんどん錯綜していく。それに加え、厳重警戒な米空軍基地やバグダッドからの帰還兵といったスパイスも更なる不穏なムードを煽り、否が応でも期待値が高まっていただけに、ラストのおざなりな展開にガックリきてしまう。マギーが我が子を手放した理由が流石に短絡的過ぎるし、散々風呂敷を広げた挙句、事の真相があまりに呆気ない。前作の様な謎解きミステリーの醍醐味が味わえず、只々残念。2023/02/12
白玉あずき
12
前作すっかり忘れてました。ので、シリーズ物の醍醐味を味わえず残念。読み返す時間的ロスを防ぐため、今後シリーズ物はある程度発行されてからまとめて読んだほうがいいのではないかと思ったのだが、すっきり忘れる私も情けない。全編暑くて埃っぽくて、申し訳ないけどこの地方には住みたくないが、土地の性格が作品に大変よく活かされていてうまいと思う。ミステリーとしても翻訳も不満はないです。ローラの今後に希望が・・・これだけでも次作以後に引っ張られます。2014/03/31
ヨッシー
10
非常に楽しめましたが、個人的には『水時計』の方が勝っているように思いました。でもやっぱり好み。もっと訳せぃ。物語は、飛行機墜落事故・ポルノ写真・不法移民の3つを主軸として進行し、この相互の結びつきはやはりジム・ケリー一流の腕前によってかなり完成度の高いものとなっていると思います。また、ドライデンの「閉所恐怖症」というモチーフが数度にわたり、実に効果的に用いられているのも良いですね。人物描写も相変わらず秀逸。ただ、解決シーンが高まる期待に応えられたかというと、むむむ、どうなのかな。何はともあれ次作や次作。2012/03/24
けいちゃっぷ
9
前作の極寒と洪水から一転酷暑と旱魃。 すごい振れ方ですね。 このシリーズは「過去になされた“罪”により現在の悲劇が引き起こされる」ということ(解説より)らしいが、冗長なところもあっていささか辛いし、ローラのメッセージなど色々と無理な展開という雰囲気があって、シリーズ5作を見据えて書かれているのだろうが2作でギブアップ。 445ページ 2016/08/04