内容説明
大きな屋敷はあるものの、日々の稼ぎはまるでない。もちろん、貯えなんてあるはずもない。そんな兄妹が生活費のために企画したのは、有名人を囲んでの会費制のパーティーだった。我が家は破産したが、金持ちの友人の当てはある。幸い、滅多に人前に出ない有名作家を招待することに成功した。だが、飛び入り参加の客が殺されて…。グレイス&フェイヴァー・シリーズ第二弾。
著者等紹介
戸田早紀[トダサキ]
1967年生まれ。津田塾大学学芸学部英文学科卒業。英米文学翻訳家
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感想・レビュー
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みつ
22
大恐慌で財産を失った兄妹が、遺された豪邸でパーティを開き、生活費を稼ぐことを思いつく。そこである事件が起きて・・という筋書。事件発生は全体の半ばであり、それまではパーティにやって来た人物を順次紹介して行くので、登場人物が多い割には頭に入りやすい。この時代に書かれたヴァン・ダインの館ものの名作『グリーン家殺人事件』も頭をよぎる。禁酒法と大統領になる直前のルーズベルト知事が時代を象徴する一方、米国にあって第一次世界大戦が影をおとすのも意外な展開。コージー・ミステリではあっても、幕切れはいかにもアメリカの小説。2025/06/24
ごへいもち
13
人が殺される話だけどこの表紙絵のようなコージーミステリー。スペシャルなものは何もないが主人公兄妹やレギュラーたちのキャラが嫌味でなく読んでいて癒される。このシリーズにプチはまりかけ(こんな怪しい日本語、でも便利だなぁ2011/12/10
槙
10
「キングスマン ファーストエージェント」を見て本書の中の第一次世界大戦の描写が読みたくなったため、再読。ジュリアン・ウェストは手の付けられない不快な人物で、同席するはめになった皆さんはお気の毒という感じ。 プリニー夫人のオランダ料理やスコーンがとても美味しそう。 ヘンリーがいいキャラだよね。2022/01/12
蕭白
9
世界恐慌下で前向きに生きる主人公兄妹が微笑ましいです。2018/10/06
ハレ
6
先に読んでしまったシリーズ3作目よりこの2作目の方が面白かった。1920年代の戦争と30年代の大恐慌のせいで上流階級から転げ落ち、ネズミのように⁉貧しくなってしまった兄妹。でもキツイ条件はあるものの大伯父の遺産である大邸宅には住めている。収入を得るために企画したパーティーで起きた事件の謎解き、最後のどんでん返しには意表をつかれた。主人公兄妹二人の人物像が3作目より好ましい。「私は今でも(上流階級時代の)高慢ちきが抜けきらない」と認める妹がいいな。 2023/11/26