内容説明
動乱の東欧から亡命してきた経歴をもつ老人が、不意に消息を絶った。捜索を依頼されたわたしは相手の信心深さを恃んで教会に網を張ったが、思惑どおり現われた老人は、声をかけるや忽然と夜の闇に消えた。この老人は一体…?祖国を喪い、革命に憑かれた人々のあいだに真相を追う、片腕の探偵フォーチューン。東欧抑圧の歴史が現代アメリカに刻みつけた革命の傷痕とは何か?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Rieko Ito
1
ハードボイルドもの。原作は1976年。アメリカを舞台に、ナチスと戦ったレジスタンスや、ソビエトと戦う独立運動家、ハンガリー革命の亡命者たちが登場する。古い。翻訳版は1992年。東欧移民の世界は、少し場所をずらせば成り立つと考えられたからこそ、この時代に翻訳版が出たのだろう。そして現在に読んでもやはり成り立つ物語だ。ただ、いつの時代にも成り立つ物語というのは普遍性があるが、唯一無二性は欠いているという欠点がある。そのあたりでこの作品はB級にとどまってしまっている。2025/01/27