創元推理文庫
風船を売る男

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  • サイズ 文庫判/ページ数 382p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488263041
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

わたしが欲しいのは孫なんだ―珍しく弱みを見せたエドワード・レイナード。親父の会社を乗っ取った憎い男だが、俺に返してくれるなら危ない橋でも渡ってやろう。そうか、シェリーという女を罠にかければいいんだな。当のシェリーは、エドワードの手先が近づいてきたとは知るべくもない。何だかおかしなことばかり起こるわ。包囲網が狭まるにつれ、シェリーの疎外感は募って…。

著者等紹介

近藤麻里子[コンドウマリコ]
1961年宮城県生まれ。東京外国語大学卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

紅はこべ

32
夫の富裕な父親から息子を奪われようとする若い母親って、『ささらさや』にちょっと設定が似ている。ショーガールの夢に見切りをつけ、愛する家族のために堅実に働く道を選んだシェリー、彼女に罠を仕掛ける映画プロデューサーのクリフは真逆の永遠の夢追い人。でもアーティストじゃない人間を格下として見下すクリフに、いい映画なんて撮れる筈もない。この二人の勝負の帰趨は最初から見えていたな。「どうすれば自己表現しないでいられるかわからない。何をしたってそうなる」というシェリーの言葉は、クリフにとってかなりきついパンチだと思う。2010/12/11

藤月はな(灯れ松明の火)

27
裏表紙と見開きのあらすじが違い過ぎて逆にネタバレになっているじゃないか!「息子は絶対、悪くない」というどうしようもない馬鹿者モンスター・ペアレンツに「孫を寄越せ」と婉曲的に脅されるシェリー。バカ息子、今更、何を言うんだい、遅すぎたよ!地道に生活している人たちの常識が分からないために望みが上手く、往かないことに対するクリフ達の困惑が可笑しいです。蔑まれても中流階級の意地と常識で対抗するシェリーとどちらが怪しいかをカードゲームで話し合った結果、シェリーを助けるために奮闘する御婆様方に拍手。2013/03/20

bapaksejahtera

14
小説家の儚い夢を引きずり、妻に生活を支えられてきた若い夫が、薬物錯乱の末に襲いかかり、子供を放り投げて重症を負わせる。妻は咄嗟に夫を殴り倒す冒頭。舅と姑は、可愛い子供を迷わした嫁と只管呪い、ある男を使嗾して親権獲得と孫の奪取を図る。か弱い寡婦を取り囲む悪人達の設定。楽しい読書のみを求める老耄読者に向かぬと思ったが、諸友の説くハッピーエンドを期待しつつ読んだ。敵の攻撃はチグハグであり、若妻の利発な行動は直ぐに読者の期待に応えたが、最後に薬物を盛られ錯乱した主人公と、智慧を発揮して助けるでもない三婆に失望した2024/02/11

Ribes triste

10
とある事件から夫との離婚を決意したシェリー。義父エドワードは、シェリーから孫のジョニーの親権を奪おうと手段を選ばず罠を仕掛けてくるのでした。悲しい結婚の結末の一方で、どんな時も希望を捨てず真っ当に生きようとするシェリーがいい。同じ下宿に住む別名「ノルン姉妹」(三婆)がとてもいい味を出していて、とても好きになってしまいました。派手さはありませんが、面白かったです。2017/05/06

カミツレ

10
孤立無援のヒロインが残り少ないお金の計算ばかりしているのが哀れで身につまされた。いちおう勧善懲悪の結末だが、人の愚かしさが招いた悲劇をつぶさに見せられ、やりきれない思いが残る。市井の人間の代表として、脇役の三老女が大事な場面で示した知恵と慈愛が救いになっていると思う。最後に一気に物語を動かす展開にはベテラン作家ならではの手腕を感じる。タイトルの外し方も面白い。2010/05/26

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