出版社内容情報
山積みの事件を前に、身動きが取れなくなっていく刑事ラート。そんな中、不可解な状態の女優の死体が発見される……。現代ドイツ・ミステリの豊饒を体現する、傑作警察小説。
内容説明
警視庁の内部でも、捜査先でも次々と問題を起こし、身動きが取れなくなっていく刑事ラート。そんな中、不可解な状態の女優の屍体が発見される。屍体に施された異様な細工は何を意味するのか…?ナチスが政権を獲得する前、人々が自らの信念に忠実でありえた最後の時代、ラートはいかにして刑事としての矜持を示すのか。現代ドイツ・ミステリの豊饒を体現する、傑作警察小説。
著者等紹介
クッチャー,フォルカー[クッチャー,フォルカー] [Kutscher,Volker]
ミステリ作家。『死者の声なき声』で、ベルリン・ミステリ賞受賞
酒寄進一[サカヨリシンイチ]
ドイツ文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
12
被害者に同情するという人情派ではなくそれなりに自分の栄達に関心があるのがいい。それにしても上司すごい甘党だな。2014/08/14
くり坊
10
主人公ラート警部、命からがら殺人鬼の監禁から逃れるも、ややコミカルなラストのドタバタ劇。インシュリン注射殺人、怖い。//面白かった、満足!で、『ゴールドスティン』へGO。2015/06/23
かもめ通信
8
ハラハラしっぱなしでとにかく心臓に悪い。 無声映画からトーキーへと移り変わる時代に、トーキーの撮影現場で主演女優が亡くなる事件で幕を開ける本作の読みどころは、 犯人捜しでも、犯行の動機探しでもなく、手に汗握る犯人との攻防でもない。 頭も腕も良いはずなのに、とにかく危なっかしい主人公からただただ目が離せないのだ。 自らやっかいごとの山を築きながらも、事件を解決していくラートの1年後が、ベルリンの街の変遷と共に、早くも気になってしょうがない。 2013/09/21
Reiko
6
主人公の性格設定が好きになれない。が、ものすごく嫌な奴かと聞かれれば、そこまで嫌な感じでもない…むしろ見守りたい感じもする。何せ危なっかしく、思い立ったらまっすぐに突っ走る。危ない橋を渡りっぱなし。でもその危なっかしさというのも一つの魅力なのかも。1930年代、ナチス台頭前のドイツの様子が感じられて好きなシリーズ。今回は映画がテーマ。無声映画からトーキーへ。色々な葛藤があったんだろうなー。映画のアーティストを思い出す。次作はまた1年後かしら。2013/09/28
蜻蛉切
5
ナチス以降(世界大戦も含めて)に比べて、この時代はそもそもあまり馴染みがない。 巻末の解説にも、その辺りのことが書かれていたが、目の付け所というより、ドイツ人の著者がこの時代を物語の背景にしたってのは、すごく「覚悟」みたいなものが必要だったのかな? まぁそれはそれとして。 前作も含めて、時代の匂いや倦怠感みたいなものを巧みに描いているなぁという印象を持った作品。 ただし、なんだか物語の終盤になると慌てて店仕舞いをしました感が半端なく、「雑」な印象が残ってしまう。 ベルリンの市街地図はとても助かる。2017/01/06