内容説明
霧の夜、弁護士事務所の共同経営者である兄オリバーから急にオフィスに呼び戻されたサイモンは、そこで兄の射殺死体を発見する。仕事でも私生活でもトラブルを抱えていたオリバーを殺したのは、一体何者か?警察の捜査に納得できず独自の調査を始めたサイモンは、兄の思わぬ秘密に直面する。英国探偵小説と人間ドラマを融合し、クリスティを感嘆させた伝説的デビュー作、復活。
著者等紹介
野中千恵子[ノナカチエコ]
1938年生まれ。東京外国語大学英米科卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
287
★★★★☆ D.M.ディヴァインのデビュー作。あのクリスティが激賞したことでも有名。 兄を殺した犯人を発見するため、独自の捜査を行う弁護士のサイモン。個人的に犯人は予想外の人物だったが、よく考えたら見抜くことも可能だったように思う。好人物はあまりおらず、全体的に暗い雰囲気の作品だったが、ラストには一筋の光もさす。 面白くて一気読みできたが、魅力ある脇役が不在(強いて言えばケリーだが)なのですぐ内容を忘れてしまいそう… 2022/07/16
セウテス
74
作者デビュー作品〔再読〕クリスティが絶賛した様に、人物造形がたいへん巧く魅力的で、実在の人物の様にイメージ出来る。弁護士事務所の共同経営者である兄オリバーが殺害され、弟サイモンは容疑者にされた友人の為に独自に犯人を捜すという物語。メインとなるトリックは、似た様な物が幾つか在る為推理しやすい。次にそれを行える人物は誰かとなるが、きちんと伏線と罠が配置されており、探偵役が素人な事もあって推理意欲が増してくる。本格の教科書の様だが再読すると、犯人が登場した際の行動に意味がある等、作り込まれている事に驚かされる。2017/09/21
タツ フカガワ
69
濃い霧が立ちこめる夜、サイモンに兄のオリバーから事務所へ来てくれないか、と電話がある。40分後に行くと、オリバーは拳銃を手に死んでいた。まもなくオリバーが、醜聞をネタに何人もの人物を強請っていたことが判明する。1961年のデビュー作で、二転三転する展開に翻弄され、最後は主要人物が一堂に会して「このなかに犯人がいる」という英国本格派ミステリー。面白かった。明らかになった犯人には驚きました。2023/01/06
yukaring
47
ディヴァインのデビュー作で、クリスティーを彷彿させるスッキリとシンプルなミステリ。霧の夜、サイモンは兄オリバーに急に呼び出されてオフィスへ戻るが、そこにあったのは銃で撃たれた兄の死体。警察の調べで兄は恐喝者だったと疑われるが、汚名をそそぎ兄を殺した犯人を自ら見つけようサイモンは謎の解明に挑む。アクの強い男性陣や面倒な女性達などクセの強い人々が活き活きと描かれ、複雑に絡み合った人間関係を解きほぐして結論にたどり着く人間ドラマが楽しい。登場人物が少なく容疑者が限定されるのに毎回驚かされるラストには本当に感服。2022/08/03
yucchi
37
ディヴァインデビュー作。兄を殺害した犯人を追うべく、警察とは別に調査を始める弟のサイモン。調べを進めるに従い兄の知られざる秘密を知ることになる。途中までファーガスンとウォータストンがごっちゃになって困った(*_*; 犯人は明らかになるまでわからなかった私はきっといい読者(笑) ラスト一行で思わずニヤリ。サイモンに幸あれ!2016/09/19
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- 和書
- 四隅の魔 角川ホラー文庫