創元推理文庫
追われる男

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  • サイズ 文庫判/ページ数 254p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488239022
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

要人暗殺未遂の廉で逮捕され、苛酷な拷問を受けたわたしは、九死に一生を得て、からくも帰国する。だが執拗な追及の手は故国イギリスにまで及び、イングランド南部の丘陵へと逃亡する羽目となったわたしは、徐々に逃れることのできない窮地へと追い込まれていく…!本書は、『サンデー・タイムズ』のミステリ・ベスト99にも選ばれた英国冒険小説の傑作である。新訳決定版。

著者等紹介

村上博基[ムラカミヒロキ]
1936年生まれ。1958年、東京外国語大学独語科卒業
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

437
解説でも、裏表紙でも「英国冒険小説」と謳っているが、私の感覚からは「冒険小説」というには違和感があり、しいて言えば「スパイ小説」が妥当か。この分野でもイギリスは有数の伝統を有しており、たくさんの作品群が上がりそうだ。本書は1939年の刊行と、類書の中ではいわば古典的な位置を占めるが、その小説の中核においては何ら古びるものではない。「追われる者」と「追う者」との確執は、終始強固な緊張感を持続する。とりわけ終盤の攻防は圧巻だ。また、最後までそれと明示されることはないが、語られないターゲットの存在の影は重い。2016/06/14

ケイ

117
出版は1939年。当時のイギリスの敵と言えば、やはりドイツと思われるが…。とにかく読者は、この語り手の正体がわからないまま読むしかない。語り手は、他の国の要人の射殺に失敗して拷問を受け殺されかけるが、強靭な肉体と運とで生き延びる。その後も、追われ続け、何度も傷を負い、普通に考えれば何度死んでいてもおかしくない状況での七転び八起き。いや、何より精神力だろう。ありえない強さだ。そして、終わりも曖昧なままだ。いづれ再読して、読み落としているだろうところから、推理していきたい。2016/02/06

扉のこちら側

75
2016年887冊め。【220/G1000】独裁者への暗殺未遂容疑で逮捕された男が、拷問を受けながらも逃げ出す話。登場人物の名前がほぼ明かされず、主人公の名も、ヒトラーを思わせる独裁者の名前も本文中では明らかにされない。冒険小説のくくりにはなっているしサバイバルな逃走ルートなのだが、自分で堀った穴倉の中で追跡者が去るまでじっと息を殺しているシーンとか、淡々とした描写なのに焦燥感が伝わるものがあっておもしろかった。 2016/10/26

くたくた

56
ポーランドで一人ハンティングをしていた“わたし”は国境を越え”隣国”に潜入する。そこでライフルのスコープに捕らえたのは“ポーランド隣国”の要人。しかし引き鉄を引くに至らず、要人暗殺未遂犯として警備の秘密警察に捕らえられ凄惨な拷問を加えられる。殺害されるところをからくも生き延び、イギリスの貨物船に密航して帰国。しかし、某国の捜索の手は故国にまで伸びてきていた。出版は1939年、主人公も某国要人も某国の名前も明かされないが、「ポーランド隣国」がドイツであり、要人がヒトラーであろうことは読んでいるとわかる。 2021/01/08

NAO

48
イギリス人である主人公による他国の要人暗殺未遂と、その後の逃亡劇を描いた冒険小説。主人公のちょっとしたことにもこだわりを見せる貴族趣味や、特権階級であることを利用して公的に守られることを潔しとしない潔癖さは、いかにもイギリス人が好みそう。主人公の超人的な肉体と精神力の根源にあるものが最後の最後に明かされなるほどと納得したが、暗殺対象者や時代を考えると仕方のないこととはいえ、あいまいにぼかされていることが多すぎる・・・。2016/03/21

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