内容説明
摂政の宴に招かれたクランストン検死官は、四人もの人間を殺した〈緋色の部屋〉の謎を解くはめになる。一方、アセルスタン修道士の教会では、改修中に発見された人骨が治癒の奇跡を起こしたと評判になっていた。さらに、かつてアセルスタンが籍を置いた修道院で、神をも恐れぬ連続殺人が発生する…。いずれも手ごわい三つの謎に、さしもの名コンビも苦戦する、人気シリーズ第三弾。
著者等紹介
古賀弥生[コガヤヨイ]
東京女子大学文理学部英米文学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ペグ
92
アセルスタン•シリーズが好きです。何度目?かの読書。何度も読んでいるとロンドンの空気も臭いも意外と懐かしくさえあり。特に下層階級の人々の生き生きしている様は、(みんな元気に生きてるんだ〜)と。ジョン•クランストン卿は相変わらず呑んだくれで、けれど明晰な頭脳と奥様やお子達への眼差しが愛おしい。そして、わたしの((*^^*)アセルスタンとボナベンチャー!良い関係です。又いつか逢いましょう!2021/02/26
syaori
67
14世紀ロンドンが舞台のミステリー第3段。今回は主人公アセルスタンの古巣のドミニコ会修道院での殺人事件に彼の教会での白骨遺体の発見、相棒の検死官ジョン卿が摂政ランカスター公の策謀で挑むことになった密室の謎と3つの事件が展開します。謎解きはもちろん、苛酷な税金に対する農民の不満に派手な摂政一族への市民の反感、国王と叔父の摂政との対立などが描かれて、ワット=タイラーの乱や王朝交代を控える政争と変革の時代を主人公達がどうしてゆくのかといった興味も尽きない本シリーズですが、残念ながら翻訳はここで終了。誰か続きを!2023/07/11
紅はこべ
22
『薔薇の名前』、修道士カドフェル、ブラウン神父、そしてこの修道士アセルスタンシリーズと、カトリックの聖職者はミステリの探偵役に向いているようだ。逆に寡聞にしてプロテスタントの牧師が探偵のミステリって知らない。どなたか知っていたら教えて。この作品で死体の隠し方はクイーンの某名作と同じ。謎解きの面白さは勿論、14世紀のロンドンの風俗も楽しめる。少年王リチャードが後のシェイクスピアの悲劇の主人公になることを思うと痛ましい。恋をする聖職者って、日本なら良寛か一休ですね。2015/03/17
skellig@topsy-turvy
20
中世英蘭ミステリシリーズ3作目。今回は人を殺す「緋色の部屋」の謎、「聖人」の遺骨の謎、修道院連続殺人の謎と3つも一気に事件が立ちあがり、さしものアセルスタンとクランストンもたじたじ。謎自体はあ、そうなのねと軽めに流れちゃう気がするので、やはりこのシリーズの肝は情景描写の巧みさだなあと再々認識。若きリチャード王と摂政ジョン・オブ・ゴーントの確執、修道院にも不在ではない人間の欲望、そして(きっと)汚らしくオーダーの欠片もない倫敦の猥雑で生命力に溢れた人々の渦。面白かった。2015/06/07
ぽんすけ
15
シリーズ最終巻。今回は修道院での連続殺人事件に、宮廷での殺人謎解き問答に、アセルスタンの修道院の床下から白骨発見ので死体がモリ盛沢山wこんなに殺人起きんでもいいやろwクランストン家にも父親そっくりな双子が生まれてるし、最初の頃アセルスタンがサザークの貧民街や自分の教会のことすっごい疎んでいたのが、今はかけがえのないものと思っているのが感じれてすごくよかった。クランストンの鯨飲馬食ぶりにもすっかり慣れたし、アセルスタンの冴えある推理もキレッキレでとても面白かった。原作はまだあるんだし続きも出してほしかったな2024/09/26