出版社内容情報
法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ美貌の修道女フィデルマ。彼女がタラの学問所に入学したときに出合った最初の事件「化粧ポウチ」、学問所の最終試験として出された事件の謎を解く「痣」、ドーリィの資格を得、修道女になってからの事件、死を告げるバンシーの声の正体を暴く「バンシー」、ローマ第七軍団の鷹の謎に挑む「消えた鷹」など全六編を収録。若き日のフィデルマに会える、大人気シリーズの日本オリジナル短編集第四弾!
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さつき
63
今回のフィデルマシリーズは6編の短編集。まだ十代のフィデルマの姿を見られて嬉しいです。寄宿舎に入った初日や、学位を獲得するための試験に臨む姿。若くてもやっぱり優秀でした。「消えた鷲」は『第九軍団のワシ』を思い出させられワクワクしました。次は是非、長編を読みたいです。2018/01/13
南北
49
短編集4冊目。フィデルマの学生時代のことが書かれている2編で、これまで名前しか出てこなかったモラン師が出てきたのが楽しめた。茶目っ気があるというと聞こえはいいが、少し行き過ぎの所もあるように感じられた。本書だけでなくこれまでの作品でも気になっていたが、中年男性が語尾に「ですわ」とつける(いわゆる役割語)ことがあり、文字面だけではオカマっぽい感じがして違和感を感じることがあった。フィデルマ自身も「ですわ」「ますわ」と言うことがあるので、なおさらそう感じたのかもしれない。2022/02/10
星落秋風五丈原
48
王女様にして裁判官、そして弁護士。まだ学生の頃から、裁判官として凛々しく法廷に立つ姿までを6篇で紹介。自信たっぷり、KY度が極めて高い今の彼女は、若い頃から…やはり変わらぬ彼女であった。王女の身分ながら「私は単なる新入生の一人に過ぎないのだから特別扱いはやめて」と言いつつも、先輩が用事を言いつけると「そんなの規則じゃないから、私はやりません」と正論を突きつける。いや、普通の新入生は、先輩の言うこと素直に聞きますから。正論で正面突破する時点で、やはりあなたはお姫様なのですよ、フィデルマ。2018/02/18
ぽんすけ
34
フィデルマ短編集。今回テンションがあがったのはやっぱり「化粧ポウチ」でしょう。フィデルマの学生時代がすごく良かった。フィデルマはやっぱフィデルマ。根底の部分で変わらない彼女にニッコリ。しかしモラン先生の試験めっちゃ鬼じゃないですか?最初の遅刻まで仕組まれたものだったなんて。そこで揺さぶりをかけてからのブレホンとの問答ですよ。圧迫面接どころの話じゃない。自分だったらまず遅刻した時点でめっちゃテンパって終わると思う。それにしてもこの時代のアイルランドの法体制すごいな。これがキリスト教の影響で失われるのか。残念2023/02/22
mahiro
33
このシリーズは推理物としては物足りないなと思ったりしつつも頭脳明晰冷静で誇り高いフィデルマのキャラと七世紀頃のアイルランドの描写が楽しみでつい読んでしまう。この短編集では法律家を志し、学園に入った少女時代のフィデルマと学友達や師である学長のモアンが登場するがフィデルマに課せられた試練がハードだ。『消えた鷹』は少しサトクリフを連想してしまったがただの探索物にはならなくてホッとした、エイダルフの登場がほんの少しだけで残念。『バンシー』の屈折した人の心の闇は妖よりも怖い。2023/04/25