出版社内容情報
ルーン文字を刻まれた死体、真夜中の侵入者、仕組まれた海難事故。真相はすべて、あの島に隠されている。トーラはヨットで嵐の海を渡るが……。MWA賞受賞作家が放つ雄編。
内容説明
トーラは産科医の知識と立場を生かし、やはり島外出身のため警察内で孤立している刑事デーナの捜査に協力する。だが何者かが自宅へ侵入し、血まみれの心臓を残していく。さらに何人もの女性の不審な死が浮かびあがり、ついにトーラは単身、ヨットで嵐の海を渡ることを決意する。謎を解く鍵がひそむ島へ向かい、すべてを暴くために!シェトランド諸島の伝説に彩られた戦慄の雄篇。
著者等紹介
ボルトン,S.J.[ボルトン,S.J.][Bolton,S.J.]
MWA賞受賞作家
法村里絵[ノリムラリエ]
翻訳家。1957年、東京都に生まれる。女子美術短期大学卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
64
急展開な後半。もはや誰が味方かわからず、告白は嘘。上巻とはうってかわりアクション場面が増え伝説まで絡んできた。シェトランド島という設定をフルに利用したストーリーで折り畳まれたひだをめくるような結末だった。キャラクターも一筋縄ではいかない深みのある描写。ただ癖がある作品だなとも感じた。よくよく考えるとテーマはエグイし、想像するとあまり気持ち良いものではない。ホラーと割りきらないとね…。2024/04/27
HANA
45
下巻になって一気に物語が動いた。前半がある意味静謐さを保っていたホラーミステリだったのに対し、後半はまさにサスペンス。この前半と後半のいい意味での対比は以前読んだ『緋の収穫祭』にも共通するなあ。あちらよりもいい意味で物語に絡み合っているので、本から目が離せなくなったが。上巻だと内省的で少々鬱陶しかった主人公が、後半になるとまさにヒロインになるのもいい感じ。もう少し上手く立ち回れそうだが、敵味方が読者にもわからなかったから仕方ないのかな。それにしても伝承、閉じられた共同体と土着と絡むミステリはいいものだ。2014/06/01
キムチ
36
**ボルトンファンなら好みかな。下巻は詰め込みすぎの慌ただしい展開で…読ませるがツッコミ箇所も満載。ラストの真相は「なんだ、此れ」巨悪は「他所で増幅」というがっくりもの2024/08/20
hit4papa
22
シェットランド諸島を舞台とした猟奇ミステリです。女性主人公が陥る”誰も信じてくれない”状況にいたたまれなくなってしまいます。一旦収束したかにみえて残り100頁の粘り腰は必読。バディもの、冒険ものとミステリの要素をてんこ盛りにした贅沢な作品です。
書斎六尺
14
自然描写が美しく馬での逃走途中野生のポニーの群れに遭遇したり、滝の様に降り注ぐオーロラを仰ぎ見たりする。トーラは危険を顧みず余りにも活動的なので敵地で囚われる等、窮地に陥りハラハラすることも度々で飽きさせない。上巻・下巻を並べると赤字で横断的にSacrificeと書かれているが、これが原作でのタイトルだ。だがそれはある象徴の3分の1しか表していないので日本語タイトルの方がいいかも知れない。後に著者がこの地を訪れ自然の美しさと人々の暖かさに触れた時こんな恐ろしい話を書いてしまっていいのだろうかと述べている。2013/05/17
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