内容説明
ホックといえば、誰もが、個性的な名探偵たちを思い出すことだろう。だが、あまり知られていないが、そういったシリーズもの以外の作品も数多く書いているのだ。本書は、そんな単発作品の中から二十一編を選んでまとめたもの。『サム・ホーソーンの事件簿』とは、これまたがらりと変わった陰のある登場人物たちと余韻の残る物語に、ホックの新たな魅力が発見できる傑作短編集。
著者等紹介
木村二郎[キムラジロウ]
翻訳家・ミステリー研究家・作家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
50
21編どれもおもしろかったが、短いけれど本格ミステリを楽しめる「冬の遊園地」、ハードボイルドな世界観がすてきな表題作「夜はわが友」、とにかく最後のどんでん返しがすごい「初犯」がお気に入り。どの話もちょっと苦めのユーモアに富んでいて、最後にあれっ? と首を傾げるような仕掛けがあり、ミステリー界のO・ヘンリーという印象を受けた。「人生は甘くない」「人生なんてこんなもの」というため息が、どこからか聞こえてきそうだ。2016/02/21
geshi
30
短編の名手によるダーク寄りのノンシリーズ短編集。シリーズキャラクターを使わないでもホックは十分に面白い。『スーツケース』スーツケースへの執着が積み重なってラストの皮肉さを強調してる。『ピクニック日和』ピクニックの鮮やかさと殺人との対比。回想の殺人だから犯人像もセピア色に残る。『冬の逃避行』浮気の疑いが確信へと変わっていく過程がしっかりしていてウッドマンの噂が結びつく綺麗な着地。『夢は一人で見るもの』いいタイトルだなぁ。甘く見ていた相手に逆ねじを食らうラストの裏切りが一種爽快ですらある。2021/04/28
くさてる
15
ホック初体験。ノンシリーズの短編集。謎解きミステリというより普通小説風のものが多く読みやすかったけれど、深く心に残るものは少なかった印象。2020/11/24
さるる
12
エドワード・D・ホック初読。濃厚な短編集。行動の、思考や言葉のひとつひとつがその登場人物の人生を左右する。あっけなく命を奪ったり奪われたり。ショートフィルムを観ているような。特に「みんなでピクニック」はひとりの男の出現によって生まれた緊張感とそれを隠すように男と言葉をかわす人々のやりとりが、一人一人の表情まで浮かんでくるようで、サイコスリラーの一場面を観ているようだ。長い人生の中のほんの一瞬のひとこまに強い光をあてたストーリーたち。面白かった。2014/04/05
まぶぜたろう
7
本格テイストのものも含まれるが、それが眼目ではない。またミステリ短編らしい「オチ」を設けた作品も多いが「オチ」ありきの作品ではない。ホックがこういうものを、という意外性以上に楽しめる、打率の高い短編集だった。全編にわたる叙情性が素晴らしい。■遊園地や若者たちの描写が印象的な「雪の遊園地」「こういうことも〜」「初犯」、ノスタルジックな「ピクニック日和」「秘密の場所」、発端の意外性が印象的な「夢は一人で〜」「蘇った妻」、奇妙な味「スーツケース」「待つ男」「おまえだけを」が気に入った。(○○○●●●)2022/01/26
-
- 和書
- ホホホ座の反省文