内容説明
この地からサルがいなくなったとき、英国人もいなくなる―古くから奇妙な言い伝えのある英領ジブラルタルで、サルたちを愛し任務に励むサル担当士官ティムと部下のラブジョイ。だが、敵国ドイツの策謀か、思わぬ大事件が勃発し、サルたちは激減。英国軍の命運を担うのは、今や群いちばんの暴れものスクラッフィ一匹だけ?ティムの奇策やいかに。
著者等紹介
山田蘭[ヤマダラン]
英米文学翻訳家
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感想・レビュー
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鐵太郎
8
このお話は、コメディです。しかし、近代の戦争の中では、ジブラルタルの要塞など吹けば飛ぶようなもの。これを維持することは、軍事プレゼンスではなくて、スペインに対する政治的アピールであった。これを理解しないと、このてんやわんやはただの三文コメディになります。背景に重い物をしょいながら、コメディは演じられ続けます。最後には、一人も悪人はいませんでした。こんな終わり方も、いいね。2005/07/09
Нелли(ネリ)
3
ギャリコの小説ってだいたい一箇所は現実の困難の前に何かを諦めて大人にならないといけない場面が出てくるんだけど、これはただ最初から最後まで痛快な冒険コメディ。困難と挑戦と失敗と大逆転の繰り返しはひたすらに見ていて気分が良い。2017/12/15
マーシャ
3
いつもそうですが、ギャリコの作品は描写が的確で生き生きしていて、まるで映画を観ている感じ。途中と最後で必ずウルッと来ます。今回は、最後の最後で感動してしばらくしんみりしてしまった。ティム=相葉くん(嵐)、ラブジョイ=佐藤隆太で実写化してほしい。おサルはきっかけに過ぎず、周囲の人間模様を描いていますが、おサルも十分魅力的。マカークって、画像ではニホンザルによく似ているが、作中で「チンパンジー」とか「類人猿」とか言ってるのは、???だった。カンガルーのマチルダの話も読んでみたい。2014/06/01
逸
3
ギャリコの書く、動物が好き。解説にもあったのだけれど、彼は動物を安易に擬人化したりしない。そこが信頼できる。今度の主人公は猿。しかもとびきり凶暴で凶悪で、底意地が悪く、あたまがいい。そんな彼を取り巻く人間たちの思惑と、当時の世界情勢。戦争の危機を猿が救う?この設定だけで、わくわくするほど素敵だ。2009/11/06
taskun
1
第二次世界大戦中のジブラルタルのとぼけた話。女はみんな優しくて、男はみんなヘタレ。2008/07/08
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