内容説明
ドーセットの寒村シェンステッドに、死と暴力が不穏な空気をもたらしていた。深夜の電話は中傷の言葉をささやき、移動生活者の一団が村内の林を占拠する。それらの背後には、フォックス・イーヴルと名乗る謎の男がいた。人々の緊張はなおも静かに高まり続け、ついにクリスマスの翌日、事態は予想外の形で大きく動きだす…。『鉄の枷』に続く、二度目のCWA最優秀長編賞受賞作。
著者等紹介
成川裕子[ナリカワヒロコ]
1951年沖縄に生まれる。1975年香川大学経済学部卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
30
上巻の表紙にはかけている途中らしき受話器。下巻の表紙には剃刀。この二つは重要なアイテムとして物語に登場。ドーセットの寒村シェンステッドでは、名家ロキャー・フォックスの家に深夜、中傷の言葉を囁く電話に悩まされていた。当主ジェームズは先ごろ妻エイルサを亡くしたばかりで、その妻の死にさえ怪しい噂が飛び交う。ャンブル狂の息子レオと、奔放な娘エリザベスは名家を支える器とならず、ジェームズが探し出そうとしたのはエリザベスが未婚で生んだ娘ナンシーだった。2017/08/07
きいろ
29
どうなっていくのか怖い。渦中にいると、どこから綻びていったのかわからない。いつか元に戻れるのかもと期待して動いているつもりが単に空回りで、壊しているのは自分だと気付いたときには遅すぎたり。ナンシーの存在だけが救い。どうなるのー??2015/11/18
紅はこべ
16
うーん、ウォルターズ節。現役英国ミステリの女王の称号はやっぱり彼女にあげたいね。2008/03/24
mejiro
14
早いうちに疑わしき人物が登場する。主人公の生い立ち、小さな村の人間関係に、移動生活者たちや土地の不法占拠が絡んで、ストーリーは不穏な空気に包まれている。他の登場人物の性格や立場がはっきりしているのに比べ、フォックスの素性や意図がわからなくて不気味。2019/01/22
雑感
7
#2020年読了 029:ミネット・ウォルターズ『病める狐(上)』 何でイギリスの女流作家は「噂話しか能のない鬱陶しいおばさん」の描写が上手い人が多いんだろう? と不思議に思い感心もし、最終的に「イギリスの女流作家だからだな」と謎の納得をして着地するなどしました。金棒引きも上手いけど、自立心に富んだカッコいい女性を描くのも上手いよね。下巻も楽しみ。2020/02/05
-
- 和書
- 院内カフェ 朝日文庫
-
- 和書
- 「突然変異」を生み出せ!