出版社内容情報
新米弁護士のライネンは、ある殺人犯の国選弁護人になった。だが、その男に殺されたのはライネンの親友の祖父だったと判明する。知らずに引き受けたとはいえ、自分の祖父同然に思っていた人を殺した男を弁護しなければならない――。苦悩するライネンと、被害者遺族の依頼で裁判に臨む辣腕弁護士マッティンガーが法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。そこで明かされた事件の驚くべき背景とは。刑事事件弁護士の著者が描く圧巻の法廷劇、待望の文庫化!
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひで📚🏈
113
気楽に読み始めたらなかなかヘビーな内容でした。殺人事件からの『パルチザンの処刑』『戦争責任』『被告人の自殺』など・・・最後に残された1枚の写真の意味がコリーニの気持ちを表しているのだと思います。今日の一言『きみはきみにふさわしく生きていけばいい』2022/02/17
ゆのん
77
『われわれは自分にふさわしい生き方をするようにできているのだ。』このヘミングウェイの言葉、本編を最後まで読んだ後にもう一度読み返してみると本当に考えさせられる。長年の恨みや憎しみを遂げた者、戦争犯罪者となった者、世話になった人を殺害した者を弁護するもの、などなど。『ふさわしい生き方』は必ずしもハッピーエンドになるとは限らないが自分で選択している、選択せざるを得ない。生きるという事は選択の連続なのかもしれない。罪の無い人間は居ないと本文にあったが少しでも正しい選択を出来る様に生活したいと願う。2017/12/14
キムチ
71
十年以上前に読了。たまたま、アマプラで視て、あの時の重苦しい、それでいて、人として職業以前に在る「何か」に触れた感動が甦り、胸に鉄塊を埋められた様な。。読書時はひたすら、法的解釈を中心に 筋を追う事と、独が国家使命としてナチスへの追及の姿勢を進めて行くか否かの瀬戸際に着いた端緒になって行くののかとうっすら感じただけだが。画面で全体を俯瞰する事が出来、フランコ・ネロのとてつもない「眼力の演技」は圧倒された。欧州各地にナチが残した爪痕は詳細を分かっていなかったが、伊でのこの虐殺事件は画面を正視出来なかった。
読書家さん#lfJKjP
51
シーラッハに関しては犯罪に引き続き2冊目の読了です。コリーニ事件表題ではライネンとマッティンガーの法廷劇が繰り出される中、ファブリツィオ・コリーニのマイヤー殺害についての色々な過去、コリーニはコリーニの想い、マイヤーにはマイヤーの想いが描き出された時凄く考えさせられた。最後のコリー二からのライネンへの手紙は泣かされました。ヨハナは罪を背負っていかなければない辛さとの闘いが重くのしかかる。再度読み返したくなる作品でした。2024/04/01
hanchyan@つまりはそういうことだ
50
読み始めると、法廷モノとしてあまりにもオーソドクスなのでちょっとビックリする。すなわち「少壮の主人公」に「対峙するのは斯界を代表する老獪な弁護士」で「黙秘する被告=明らかにされない動機」と言う感じ。んで。読了後、自分が何で歴史モノ苦手なのか分かった気がする。自分てば、つくずくチキンだからなあ(笑)。あと、本書と合同なテーマの日本文学をいくつか想起し、それらとの、立ち位置や視座、通底するものと相いれないもの等々が、個人的には非常に興味深く感じられるが、いかがか。2018/01/03