内容説明
不幸な事故から視力を失った探偵、それがマックス・カラドスである。彼はそのハンディキャップを異常なまでの意志力で克服し、むしろ新たな能力に目覚め、不思議な知覚が芽生えた、とまで言い切っている。“ホームズの時代”最後の名探偵と目されるカラドスの活躍を描いた好短編―第一作「ディオニュシオスの銀貨」にはじまり、「マッシンガム荘の幽霊」など八編を収録した。
著者等紹介
ブラマ,アーネスト[ブラマ,アーネスト] [Bramah,Ernest]
1868年イギリス生まれ。本名アーネスト・ブラマ・スミス。農場経営を経て、デビュー作England Farming and Why I Turned It Upを発表。ジャーナリストに転身し、のちに作家ジェローム・K・ジェロームの秘書となり、彼が主宰する『トゥ‐デイ』誌の編集スタッフに加わる。1900年、カイ・ルンという中国人が語るアラビアン・ナイト風の奇譚を集めたThe Wallet of Kai Lungを刊行。1942年没
吉田誠一[ヨシダセイイチ]
1931年生まれ。東京外国語大学英米語科卒。1987年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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セウテス
82
ホームズのライバルたちの、最後の1人と呼ばれる盲目の探偵。本作はカラドス第1集から2作品、第2集からというように選抜作品短編集。「フラットの惨劇」が、ミステリとしては推理に挑戦出来て、真相も中々の落とし所だろう。ホームズと異なる特徴として盲目という異色な設定をしたのだろうが、剰りにもハンディキャップを感じさせないスーパーマンぶりは好しと思えない。むしろ盲目の為に苦労して、又は特殊な捜査方法を用いるなど、演出の仕方があるのではないか。トリック他、歴史上大切な作品の一つではあるが、その意義の範疇の作品だろう。2020/08/11
ホームズ
17
何回読んでも盲人という感じがしない盲人探偵マックス・カラドス。全体的にトリックが古い感じがしてしまった。それなりに楽しめるから良いんですけどね(笑)2013/05/12
歩月るな
13
ホームズ時代本当に最後の探偵とも言える登場時期の素人探偵マックス・カラドス。ルイスとの再会や二人でかわす冗談、登場人物たちもなかなかにジョークが達者であり主人公の境遇にしても典型的なディレッタント、もともとの著者の研究による専門知識を持ち出したりと超人探偵である点をのぞけば割と地に足がついている話運びで、堅実。その登場時期故に、開戦にいたるまでの流れを当時の視点でしっかり描かれている点は妙に生々しい。妙に老成したような仙人めいた存在感もあるような気がするが、三十五歳前後の紳士であるカラドスさんは割と普通。2017/09/28
qoop
8
盲目というハンディキャップを強い意志力で克服した探偵という設定だが、正直なところ克服しすぎではないか。手書きでも印刷物でも指でなぞれば字が読めるとか、声の下方向に銃を放てば一発必中とか、どうかと思う。せっかく写真記憶を持つ執事がいるのに。あまりキャラクターを立てすぎないように意識してるのかな、と思わないでもないが。2017/01/02
ホームズ
7
何回読んでもマックス・カラドスが盲人で目が見えないって雰囲気が伝わってこない。触覚や嗅覚などを利用するなどあまり盲人ってことを使った推理がないことが原因かな~。全体とし手はやはり古さを感じるトリックや話が多いですね(笑)とりあえず表紙が違う本が手に入って良かった(笑)2010/07/16