出版社内容情報
撲殺された美術品ディーラーの持ち物だった黄金製の箱に残されていたのは、パガニーニ宛の古い手紙だった。名ヴァイオリン職人にして名探偵が天才演奏家をめぐる謎に挑む!
内容説明
名ヴァイオリン職人ジャンニのもとに、パガニーニ愛用の名器“大砲”が持ちこまれる。修理の翌日、美術品ディーラーの撲殺死体が発見された。彼はホテルの金庫に黄金製の箱を預けており、中にはエリーザという女性がパガニーニに宛てた古い手紙があった。これは事件解明の手がかりなのか?名職人にして名探偵が“悪魔のヴァイオリニスト”をめぐる壮大な歴史の謎に挑む!
著者等紹介
アダム,ポール[アダム,ポール] [Adam,Paul]
1958年イギリス生まれ。1993年、ジャーナリストを主人公にしたミステリAn Exceptional Corpseでデビュー。数々のミステリをはじめとして、子ども向けのスリラー三部作Max Cassidy Trilogyなどを発表。テレビや映画の脚本も手がける。現在はイギリスのシェフィールドに妻とふたりの子どもと住む
青木悦子[アオキエツコ]
東京都生まれ。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
350
暗号や財宝等々、題材のせいもあり、冒険活劇じみた二作目。ジャンニのキャラを崩すことはなく、穏やかで知的な雰囲気は前作に引き続き楽しめる。しかしやはり、話が突拍子もなくなって、その分、音楽に対するパッションが一作目よりも減じたように感じた。謎解き部分も、暗号解読はよかったのに、その先は姓名からの家系図遡り一辺倒でやや安直。あまりミステリとしては期待していなかったので、まぁいいかなと思いつつ、続編によくあるエンターテイメント寄せは、上手くいった試しがないのに…と惜しい気持ち。現に次作は日本向けに書かれたとか。2024/05/29
ケイ
128
このシリーズは、○○と○○というタイトルが表すとおり、ふたつの謎~過去と現在が絡む。少しマハさんの楽園のキャンバスみたいね。前作はイギリスの人里離れたところまで行ったが、今回はパリやロシアからの人も。次作は中国まで行く? ドイツやオーストリアあたりかな。なんてことを考えるのも楽しい。今回は謎解きもだけど、若いヴァイオリン奏者の事が気になった。ステージママ=毒親=子離れできない母親というのは、万国共通なのかしらね。 2020/06/21
Panzer Leader
99
若き天才ソリストの使用する名器の修理からコンサート、パーティー、自宅への招待、内輪の演奏会そして殺人事件の発生に至る一連の流れがスムーズでとても良い。 腕の立つヴァイオリン職人である主人公の仕事/人生に対する姿勢、亡き妻に持ち続ける思い、他人に対する決して押し付けがましくない忠告等とにかく主人公が魅力的。こんな彼が活躍するミステリーだから面白くない訳がない。過去の人物・楽器の薀蓄話も興味深く読めた。ただ最後の解説らしからぬ解説は余計、これはただの粗筋だよ。2018/06/29
ユメ
91
嬉しい続編。相次いだ殺人事件の犯人は誰か、その死に関わる幻のヴァイオリンと楽曲、そして同時期に失踪したヴァイオリン奏者の行方や何処。幾つもの伏線が巡らされ、最後まで存分に楽しませてくれた。わずかなヒントを手に謎を切り拓いてゆくと、パガニーニやロッシーニといった巨匠たちにぶつかるというのは、読み手の心をこの上なく高揚させる。主人公の音楽談義は、いつも愛情とリスペクトに裏打ちされていることが感じられ、お宅にお邪魔して、ワイン片手にもっと耳を傾けていたい。シリーズ化して続いてゆくことを願わずにはいられない物語。2015/04/21
つねじろう
84
予備知識もなくジャケ買いだったけど、これはねえ当たりだった。なおかつニ作目だったけどすんなり問題なく入り込めた。訳が上手なのか文章も情景や人物の描き方にも丁寧さがあり、その感じがそのまま主人公の人柄やヴァイオリン職人としての仕事に対する姿勢を表現している。こんな達人的年の取り方も良いなあって思った。中味もパガニーニにまつわる音楽的な話から女性遍歴も含めた歴史ミステリー、宝探しからの殺人事件や失踪事件まで盛り沢山。だけど最後はきっちり調和する。其れこそ優れた弦楽四重奏的なお話。早速一作目も読まなくっちゃ。2015/01/09