出版社内容情報
大学の実験室で、化学の実験中の学生が毒ガスを吸って死亡する。事故死か、あるいは自殺か? 指導教官のブレイドは自ら捜査に乗り出した。しかし、殺人だとすると第一の容疑者は彼自身なのだ。大学における地位や家庭の平安までも脅かす羽目となり、ブレイドは四面楚歌の状況に追いこまれていく……。鬼才アシモフ、初の長篇推理小説。
内容説明
大学の構内で、化学の実験をしていた学生が毒ガスを吸って死亡した。大学当局は事故死として処理したい意向だったが、指導教官のブレイドは死因に疑問を抱き、捜査に乗り出す。だが、意外なことに彼自身が第一の容疑者として浮かび上がってくる。しかも、昇進問題もからんで、象牙の塔の内外で、彼は四面楚歌の状況に追い込まれていった!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鐵太郎
24
とある大学の化学学部で起きた死亡事故、いやそれはどう考えても殺人事件。そう考えたのは、出世コースを外れ妻に愛想を尽かされつつある助教授のルイ・ブレイド。そして気がつく。殺人事件だとしたら、状況も手段も動機も、すべてが自分を犯人と名指ししているではないか。こうして始まった大学校内の人間模様を絡めたミステリは、アシモフらしいじれったさを抱えながらアシモフらしいかっちりとした展開で進み、驚くべき犯人があぶり出されます。お見事だよ、アイザック!2019/07/02
H2A
19
アシモフらしい化学ミステリー。アメリカの大学を舞台に化学研究者たちの関係性が垣間見えて、象牙の塔の世界に納得させられた。アシモフにしてはロジックを振りかざすだけでなくて人間臭ささのある異色な小説だが、その美質がよく表れていると思う。おもしろい読み物だった。2017/02/04
kochi
18
大学で化学を教えるブレイドは、実験室で院生のラルフの死体を発見。実験中に青酸ガスを吸い込んだらしいが、過失かそれとも殺人か? 渦中のブレイドは、独自の捜査を始めるが… 被害者は偏屈の見本のような人物で、かっての指導教官やプレイボーイ教員たちとの大学内での確執や三角関係のもつれ等が次々と明らかにされる一方、真面目なブレイドの推理は、化学実験のようにはうまくいかないし、刑事の追求はますます厳しくなり絶対絶命。化学を使ったトリックといい、象牙の塔の内情といい、生化学の教授でもあったアシモフならではのミステリ。2020/12/23
bapaksejahtera
15
長く身分不安定な助教授に据え置かれ、妻から尻を叩かれる大学の化学教師が主人公。彼の指導下には傲岸不羈で周囲から嫌われる院生がおり学位論文に向かう毎日。ある日実験中に彼がガス中毒死しているのを、主人公が発見する。素人目には事故死に見えるが、専門教官の眼からは殺人としか思えない。このままでは自分が疑われると万年助教授は素人調査に動くが、却ってコロンボの原型を思わせる担当刑事から狙われ、学内を生き抜く力量も不足して上司同僚も冷たい。疑われる中で中年初期主人公の成長が描かれる。あのアシモフのミステリーかと見直した2025/05/30
マリリン
14
化学は避けて通ってきたので、難しい事も簡単な事もわからないけれど、この作品は展開が面白い。アシモフの著書は他にも読んでみたい。2017/04/24