出版社内容情報
中年となったわたしのもとに届いた老婦人からの手紙が、暗い過去を呼び起こす。楽しく過ごせたはずの大学時代の夏、4人の男女に何が起こったのか? 大型新人のデビュー作。
内容説明
1972年、大学生のわたしと恋人のダニー、その友人のサイモンは、親元を離れサイモンの叔父の家で、三人だけでひと夏を過ごすことになっていた。だが、海で出会ったトゥルーディーという少女を家に連れ帰ったことで、すべての歯車が少しずつ、だが確実に狂いはじめる…。情感豊かな筆致で描く現在と過去、積み重ねられる謎、圧巻のクライマックス―。大型新人のデビュー長編。
著者等紹介
横山啓明[ヨコヤマヒロアキ]
1956年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うぃっくす
10
ヒッピーみたいな暮らしをしてはみたものの不協和音がじりじりと起こって後戻りできなくなってしまった。これは最悪の若気の至りだなー破滅にむかっていってるのはわかってるのになんか後戻りできない焦燥感がよかったね。2023/11/02
星落秋風五丈原
8
35年前の出来事を回想する元教師のケイティ。恋人ダニーとその友人サイモンと3人でサイモンの叔父の別荘で夏を過ごしていたがトゥルーディーという女性の出現でThe Pull Of The Moonという原題のごとく月にひきずられたかのように不協和音が生じる。2014/04/28
DONA
8
過去と現在が交互に描かれている面白い構成の物語でした。主人公・ケイティーの人物像がつかみにくく、個人的にあまり好きになれないタイプの女性だったのですが、話がどのように進んでいって、どんな結末を迎えるのか?が気になって、意外と早く読めてしまいました。2012/11/08
けいちゃっぷ
5
35年前に彼氏と彼氏の友人と共に三人で気ままな夏休みを過ごしていたところへ、見知らぬ少女が加わったことにより歯車が狂い始めるのだが、数ページ読んだだけで、あまりの読みにくさに辟易。なんとか読み終えたが。語り手である女の「私はあんたたちとは違うのよ」「誰も私のことを分かってくれない」という意識か無意識が全面にでていて非常に読んでて疲れた。語り手に感情移入できればもっと違った情景を脳内に描くことが出来たかもしれませんが、なにしろ完全に醒めた頭で読んでましたのでそれが残念といえば残念です。423ページ 2014/03/23
emitaku
5
散りばめられたほのめかしに引きずられて一気読み。何気ない日常をはさみながら主人公とともに時間を移動していくうちに、ぞくぞく感がいや増してくる。歪むってこういうことか。恐ろしい。静かに絶叫したくなるような物語。すごくおもしろかった。2012/10/14
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