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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
153
予想外におもしろかったというのが,読後の感想である。プロット自体は「幸福な家族生活を送っていた主人公の前に、突然美しい前妻があらわれ、影がさし平和の中に秘められていた様々な偽りが姿を見せてくる…」というよくあるものだが、アンジェリカという前妻が奇妙な緊張感を物語に与えていて、思わず引き込まれてしまった。
セウテス
96
パズルシリーズで有名なクェンティン氏の代表作です。主人公ビルの目になって読者は事件を追うことに成ります。殺人事件がおき、家族を護る為にとった行動によって、前の妻が苦境に立たされる。彼女の無実を自分は知っているのだが、現在の妻とその家族への思いから、辛い立場に追い込まれて行く。作者得意の主人公の葛藤や家族への想い、最善策を選択したのにどんどん深みにはまって行く、焦りとスリル溢れる展開に読む手が止まりません。サスペンスとしても本格ミステリーとしても一級品、意外な犯人と驚愕の結末、是非とも読むべき名作です。2015/05/22
geshi
31
現在の妻ベッシィは現実の象徴であり、かつての妻アンジェリカは夢・理想の象徴であると読めるから、二人の妻の間で揺れるビルが人間として許せなくても一部の理解できる余地を残しるから、いつの間にか読者も葛藤に同調してしまう。殺人事件によってアンジェリカかベッシィかの究極の二択を迫られ、自分の選択を他人に仮託するビルの卑怯さが何ともリアル。オチに向けての流れがやや性急だと思うが、他社を象徴化して本当の姿が見えていなかったしっぺ返しが強烈で、結局はビルが自らを貶めているのが意地が悪くて好き。2021/07/27
yokmin
30
丸谷才一「深夜の散歩」の「ダブルベッドで読む本」で紹介されている。原作は米国で1955年に出版。決して古さを感じさせない。P・クエンティンの本は初読。心理描写も多い。癖になりそうな作家だ。次は「愚かものの失楽園」を読むことにしよう。2022/02/01
koma-inu
22
3点 題名通り、殺人容疑者となった元妻と、現妻の間で揺れる物語。どちらに肩入れするのか?とハラハラ読んでたところ、女の執念が伝わるラストで、呆然としました。関係ないですが、1974年の図書館本で、生前から存在する本ということで、時代を超えた気持ちになりました^^;2021/03/09
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- 和書
- 退出ゲーム 角川文庫