出版社内容情報
パリ郊外の原子力研究所で起きた技師殺人事件。金庫からは核燃料チューブが消えていた! 司法警察の捜査が始まるが、現場は完全な密室であったことが判明する……。
内容説明
パリ郊外の原子力関連施設で起きた殺人事件。技師長が射殺され、金庫から重さ20キロほどもある核燃料チューブが消えた!そのチューブは、パリ市民を核爆発、放射能汚染の恐怖にさらす危険物だ。スパイ事件か?司法警察の捜査が開始されたが、犯行現場は完全な密室状況だったと判明。さらに続く不可能状況での事件。仏ミステリ界を代表する共作作家による、傑作本格ミステリ。
著者等紹介
大久保和郎[オオクボカズオ]
1923年東京に生まれる。慶應大学中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
27
原子力工場で技師長が殺され、パリが壊滅する程の威力を持つ核燃料が盗まれてしまった。時間差もないのに起きてしまった不可能犯罪。ミステリーとしては初歩的ミスリードとも言えますが、センチメンタルな人間関係の機微がその分、浮き上がっている感が否めません。2013/04/16
Brooklyn0320
9
復刊されたのを機に読んでみました。タイトルはとにかく秀逸・・・なんですけど、内容との関連性はあまりないですね。関連しているのはせいぜい「技師」が登場することくらい。タイトルから数字パズルなんかが絡んだ理系っぽいプロットを期待したんですが、数字とは無縁のベタな展開にがっかりしました。密室状況下での連続殺人を扱っているものの、比較的出来が良いのは最初のトリックのみで、あとは逆にトリックから犯人や動機が分かってしまいます。それに、核燃料チューブという大道具を持ち出した割には、扱いがいまいちな気がします・・・。2013/10/24
ヨッシー
8
ちょっとイマイチですかねぇ。密室物として悪くはないんです。単純なトリックですが、それを数パターン作ることで不可能味を増させています。ただ、いかんせん物語としてあまりに乗れないんですよ。核の危険的な要素が浮いている上にサスペンス性が弱く、キャラクターもいまいち。いかにもフランスミステリ的な結末ですが、これを書くために「本格」の体裁を取ってしまったこと自体がやや失敗だったかなと。フーダニット・ハウダニット物として中途半端である感が否めません。題材は悪くないのに。やはりサスペンス畑の作家、ということでしょうか。2012/05/27
y yoshi (イツモ ホンヲ ハナシマセンデシタ)
5
おフランスな感じ。2019/05/02
リエ
3
もうタイトルからして無条件にカッコいい&思わせぶりでミステリ好きの興味をそそる。 原子力関連施設から核燃料チューブが消え、密室状況下で殺人が起きるという魅力的な冒頭と比して物理的なトリックはやや大味。 登場人物も少ないので犯人の目星も立てやすいが、巧みなミスディレクションやテンポの良いストーリー展開、軽妙な文体、意味ありげな会話で読者を飽きさせない。 さすがサスペンスの名手。 締めも洒落ている。2018/12/08