創元推理文庫
わらの女 (新版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 316p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488140274
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

内容説明

翻訳の仕事をする知的で打算的なドイツ人女性ヒルデガルデ、34歳独身。彼女が見つけた新聞の求縁広告は“莫大ナ資産アリ。ナルベクはんぶるく出身ノ未婚ノ方、家族係累ナク…”というものだった。こうしてすべてが始まった。そして彼女は億万長者の妻の座に。しかしそこには思いも寄らぬ罠が待ち受けていた。精確無比に組み立てられた完全犯罪。ミステリ史上に燦然と輝く傑作。

著者等紹介

安堂信也[アンドウシンヤ]
1927年東京生まれ。1951年早稲田大学仏文科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

143
アルレーは初読だが、訳者の安堂信也はベケットの『ゴドーを待ちながら』などの翻訳でなじみ深い人。タイトルの意味はいかようにも解釈が可能だが、直接的には語られていない。主人公ヒルデガルド、及び他の主要な登場人物の造形は実に見事。推理小説の枠組みを越えて、小説を読む楽しみそのものを味わうことが出来る。ただし、裏表紙の広告文がネタバレどころか、真犯人を名指してしまっているのは、推理小説にはあるまじきことだろう。もっとも、この作品は犯人探しの妙味よりも、著者の人間観や心理の動きに真価があるので、まあいいのだけれど。2013/09/08

遥かなる想い

112
悪女と完全犯罪を描くフランスの女流作家の古典の再読。文体が簡潔でテンポよく読み進めることができる。女主人公に的を絞った描写は、ストーリーが発散せずにわかりやすく楽しめると思う。「大富豪の妻を新聞で公募」などという設定は古臭いが…アメリカの分量だけがやたらに多い本を読み疲れた方にはお奨め。2010/06/09

セウテス

87
〔再読〕戦争で美しい故郷ハンブルクと、家族を失った主人公ヒルデガルデは、新聞広告の結婚相手の求人広告に応募する。しかし話には裏が在るのだが、彼女は幸せをつかもうと計画に乗る事にする。最初に読んだのは学生の時で、おいしい話には裏が在ると学んだが、今回再読してみるとヒルデガルデがそんなに悪女とは感じなかった。不幸な過去から純粋に幸せを求めて、愛情が無くても大富豪の妻になる、そんなに悪い事だろうか。むしろラストの犯人の独白に、怒りがふつふつと湧いてくる。再読して、こんなにイメージが変わるのかと驚く作品となった。2020/11/02

つねじろう

70
新訳を機に再読。新聞の婚活記事に「莫大ナ資産アリ....」と云う今時の出逢い系サイトでも使わないような胡散臭い広告から物語は始まる。待ってましたとガッツリ食い付く才色兼備なるもお金大好きセレブ生活に憧れる主人公。相手の億万長者はどんな人間でも金でどうにでもなると云い徹底的に人間性を蹂躙して楽しむ人間不信のサディスト。シナリオライターは忍従しながらその業突く張りに使えてきた秘書。その3名のヒリつく欲の皮の駆け引き追い込み追い込まれるサスペンス、潔いまでに期待を裏切る結末に痺れる。実効性云々を超えた傑作です。2017/09/25

metoo

65
ヒルデガルデ、以前からこの主人公の名前が気になっていた。1964年初版の本書、ここに描かれる完全犯罪は、現代のDNA親子鑑定などで簡単に不完全になるのだけれど、本書は緻密な完全犯罪のトリックではなく、一人の野心家の若く美しい女と、一人の野心家の若くはないが彫りの深い魅力的な男の、SMプレイのような芝居がかったやり取りに主眼が置かれる。映画では、この野心家の男をショーン・コネリーが演じている。映画は原作通りではないようだが少し気になる。2015/03/11

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