感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
70
倒叙ミステリー三大名作の一つ。〔再読〕三作品の中では、最も傑作であると私は思う。本作は伯母と二人暮らしの主人公が、遺産を持つ伯母からの抑圧に耐えきれず、伯母の殺害計画と実行の物語を自らが主体的に日記に記録した、主観的な文章であるという珍しい作品。面白い事は読み進めるとこの主人公、今では時々見かける仕事をせず歩く事も良しとせず、部屋で好きな事をしているだけの身勝手な怠け者、と解ってくるのだ。そうなると彼の主観的な文章は、何処までが事実なのかと疑問が湧いてくる。プロットに展開、兎に角一度読むべしと云いたい。2016/12/06
みっぴー
51
あ、タイトル…やられた!!有名な倒叙ものということで、読んでみました。事故に見せかけ、伯母の殺害をたくらむエドワード。日記形式で、殺害の計画を記述していきます。終始コミカルな伯母とのやりとりですが、結末はかなり衝撃的。これって救いなのかそうじゃないのか自分は判断できませんでした。悪事を計画するときのエドワードは、輝いてた。例えば、「明日から⚪⚪ちゃんを無視しよう!」と決断を下す小学生の女の子みたいに。人間、悪巧みとなると、どうしてこうも生き生きしてくるのか…。見事な最後の一撃でした。2017/06/22
Kouro-hou
33
三大倒叙の一つと言われる古典推理小説(1935)。つまり犯人視点で犯罪を犯す話なのですが、むしろコレはそのパロディ。ウェールズの片田舎に住む主人公は遺産目当てに後見人で犬猿の仲の伯母を殺そうと企みます。ところが彼は意識高い系のニートボンクラーで、物証は残す、仕掛け中に目撃された上に本番では失敗、さらに二度三度と自信満々に暗殺計画をたてるもドンドンやり方が杜撰になって物証山積、本当に殺せるのか!?と信用できない語り手として魅せてくれます。語り手は多弁に隠して何を書きたくないのか?という点を考えさせられたり。2016/08/16
森オサム
30
著者初読み。これで倒叙推理小説の三大名作制覇となった訳です。物語は主人公の日記を覗いている様な形で進みます。どこまで本当か疑いながら読んでいましたが、いずれにしてもとにかく主人公が超絶的にバカ。全く同情の余地は無いし、殺人なんか成功するとはとても思えない。失笑タイプのユーモアミステリーとも言える程です。対する伯母さんはどうかと言うと、こちらもまともな事は言っていますが、厳し過ぎるし考えが余りにも古くて頑固。と言う訳でどちらにも共感出来ず、しかし倒叙と言う事は最後に勝つのは…。まあオチは結構強烈だったかと。2025/02/22
hydrangea
24
主人公エドワードがどうしょうも無い人間なのですが、伯母に対する殺害計画という不穏な内容にも関わらず、そこかしこに緩い雰囲気が感じられるユーモア作品。と思いつつ読み進めると、最後に明かされる真実には成る程と頷いてしまう。倒叙作品の三大名作の1つと言われて期待が大きくなり過ぎていた感はありますが、その肩書は外しても愉しめる1品です。2015/07/05
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