出版社内容情報
人生最後になるかもしれない捜査に臨む伝説の元殺人課刑事、87歳。武器は357マグナムと皮肉、敵は老い。最高に格好いい主人公を生むことに成功した、清冽なデビュー作!
内容説明
捕虜収容所でユダヤ人のあんたに親切とはいえなかったナチスの将校が生きているかもしれない―臨終の床にある戦友からそう告白された、87歳の元殺人課刑事バック・シャッツ。その将校が金の延べ棒を山ほど持っていたことが知られ、周囲がそれを狙ってどんどん騒がしくなっていき…。武器は357マグナムと痛烈な皮肉。最高に格好いい主人公を生み出した、鮮烈なデビュー作!
著者等紹介
フリードマン,ダニエル[フリードマン,ダニエル] [Friedman,Daniel]
メリーランド大学、ニューヨーク大学ロースクールに学ぶ。ニューヨークで弁護士として働くかたわら、2012年に『もう年はとれない』で作家デビューを果たし、マカヴィティ賞最優秀新人賞を受賞
野口百合子[ノグチユリコ]
1954年神奈川県生まれ。東京外国語大学英米語学科卒業。出版社勤務を経て翻訳家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
477
序盤、事件がどういう風に転がっていくのかイマイチ見えず、さらにシャッツの老人模様がほのぼのしすぎていて退屈しそうになったが、中盤以降、だんだんと面白くなってきて、最後にはシャッツ最高!で読み終えられた。全体的に、事件の焦点がぼんやりしていて、金塊を探す冒険で読ませるのか、それに絡んだ殺人でサスペンスを高めていくのかがどっちつかずだった気がするものの、とりあえずバック・シャッツというキャラクターで全部乗り切っていった感じ。冷静に見ると、テキーラの行動の方が情緒不安定でぶっ飛んでおり、地味に笑える。2018/04/09
遥かなる想い
293
2015年このミス海外第5位。 87歳の老人元刑事の痛快な 毒舌が楽しい。 我々を虐殺したナチスの 将校が金棒とともに 生きているかもしれない… 追跡する元刑事と、その孫 …ナチ狩りの感覚は日本人 にはわかりにくいが、 欧州における戦争の影は 「ナチ」と「ユダヤ人虐殺」という形で 確かに残っていることを この本を読むと実感する。 老いぼれ刑事の活躍…だが なんとなくスッキリしない、 そんな幕切れだった。2015/02/08
ちょろんこ*勉強のため休止中
182
87歳の元刑事が孫と一緒にナチスの金塊を探す冒険譚。孫と老人が互いの弱点を補いながら、絆を深め合うロードムービーでもある。テンポよくスリルある展開で、よくある老人ものとは一線を画していた。老人が息子を失った喪失感と、かって自分をいたぶったナチスに対する復讐が物語に厚みを与えているように思う。そして最大の敵が老い。アルツハイマーや、シャワールームでの転倒に怯える部分は容赦ない。それでもシニカルな皮肉を口にしながらマグナム片手に最後まで戦う姿はかっこいい。いかしたじいさんとその孫の、最高にいかした物語。2014/09/22
紅はこべ
173
ユーモア感覚を失っていない、ハードボイルドなおじいちゃんが活躍するミステリといえば、国産の某傑作があるが(ネタバレになるので、絶対題名は言えない)、このバックじいちゃんも、負けず劣らず魅力的。ただ健康面が不安だが。作中にアロイス・ブルンナーの名が。これが書かれている時は、まだ彼の死が明らかになっていなかったのね。感慨。今年は『HHhH』に始まり、12月にこの小説と、ナチスとユダヤ人に関する本に親しんだ年だったな。2014/12/19
佐々陽太朗(K.Tsubota)
142
主人公はなんと87歳。私などまだまだ若造、青二才、ひよっこ、はなたれ小僧のガキンチョである。とはいえ、いよいよオジンの仲間入りした私にとって「老人の、老人による、老人のためのエンターテインメント」はなんとも魅力的に見えた。率直な感想は確かに面白いがイマイチといったところ。主人公に感情移入できないし復讐ものとしての魅力に欠ける。そもそも私は日頃イスラエルの所行を腹立たしく思っているのでユダヤ人にシンパシーを感じにくいのだ。続編の『もう過去はいらない』の評価も高いようだが、いまのところ読もうとは思っていない。2015/12/17