感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
cinos
12
サスペンス溢れる作品、皮肉な結末と短編でもアイリッシュの職人技が光ります。誤解がよく描かれています。妻の推理が光る「シルエット」や、墓を掘りまくる男の話から意外な展開を見せる「生ける者の墓」、「秘密」「パリの一夜」とどの話も面白いです。2017/09/24
elf51@禅-NEKOMETAL
5
タイトルの「シルエット」がめずらしく小道具を書いたトリック物でなかなか面白い。もっとも,そういう仕掛けめいたところに主眼はなく,あくまで関係する物の心理の動きがアイリッシュの面白さだ。「生ける者の墓」はポーの「早すぎた埋葬」が連想される話。当時は実際に生きたまま埋められるということはあったようだ。自分が埋められるという恐怖の感覚がうまく書かれている。2021/01/21
まひろん
2
アイリッシュの魅力が詰まりまくってて全作品好き。アイリッシュ、大好き。2024/02/15
こみっく
2
最初に読んだときは「窓の明り」「秘密」が好きだったが、今回は「死の治療椅子」「殺しのにおいがする」の友情ものが印象に残った。でもハズレはない。2020/05/10
Tetchy
2
今回収められた作品9編のうち、最も印象に残ったのは「秘密」。夫が失業してバイトしているシーンを妻が見て涙するシーンに泣く(バイトの内容が泣かせる)。準ベストは「生ける者の墓」。次点で「毒食わば皿」、「死の治療椅子」。これらはどれもサスペンスとしては使い古されているのだが、構成が上手くて実に引き寄せられる。もはや物語のパターンは語りつくされたとされる今において、傑作と呼ばれる作品が生まれる事実。傑作と凡作は何が違うのか。この短編集を読めば、その秘密が自ずと見えてくる。2009/09/19