出版社内容情報
婚約者の父を殺したと疑われるイヴ。部屋に侵入した前夫のせいでアリバイを主張できない彼女は、絶体絶命の窮地に陥る。女王クリスティを驚嘆させた巨匠カー不朽の本格編。
内容説明
フランスの避暑地に暮らす若い女性イヴは、婚約者トビイの父サー・モーリス殺害の容疑をかけられる。犯行時には現場に面した自宅の寝室にいた彼女だが、そこに前夫が忍びこんでいたせいで無実を主張できない。完璧な状況証拠も加わって、イヴは絶体絶命の窮地に追いこまれる―「このトリックには、さすがのわたしも脱帽する」と女王クリスティを驚嘆させた不朽の傑作長編。
著者等紹介
駒月雅子[コマツキマサコ]
1962年生まれ。慶應義塾大学文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
501
クリスティが脱帽というだけあって、クリスティ好みなミスリードがふんだんに使われている。そして、今読むと、犯人指摘に至るロジックがとても新本格っぽいと気づいた。今こそ評価が一層高まるべき作品。訳の読みやすさもカー作品屈指で、頁数も少なめ。カー作品の中でもオススメしやすい一冊となっている。トビイのキャラもえらく現代的な幼稚さがあって、そういうところ含めて本当に"今"にジャストフィットしている古典だと思う。所謂"カーらしさ"というものはあまり感じられないが、恋愛面だけはまさにカーの王道ど真ん中。2017/05/04
Kircheis
276
★★★★★ カーの代表作の1つだが、ストレートな本格物でカー独特のおどろおどろしい雰囲気はあまりない。 割と短めで、探偵役はこの作品のみの登場となるキンロス博士である。ヒロインのイヴは相当魅力的なんだろうが、その優柔不断さには少しイライラさせられた(笑) フェア過ぎて犯人はすぐに分かってしまうレベル。しかし展開が面白いのでグイグイ読めてしまう。古典だが、今読んでも超面白い。 アトウッドももちろんクズだが、個人的にはトビイの方が真のクズ男だと思う。2020/04/16
夜間飛行
179
三読めなのに忘れている。寝室に入ってきた前夫を追い出そうとしたイヴは、彼と相次いで窓から隣家の犯罪現場を目撃する。立ち去る何者かの手、頭を割られた老人、血飛沫とバラ色の破片…。このシーンが提示された後、そこに様々な疑惑が絡んでくる。イヴに同情的なローズ家の人々や冷淡なメイドの本心がわからないし、当のイヴの心もすっきりしない。これらの心理的なもやもやの中に隠された真相を、心理学者キンロスが解明していく。作中人物の言動が少々まだるっこく思われるけれど、トリックは極めてシンプルで齟齬はない。やはり傑作だと思う。2019/01/24
とよキチ
109
ジョン・ディクスン・カー初読み。前々から数多あるミステリー評価サイトで見て、気になってました。書店で帯を目にした瞬間レジへ。(この買い方は危険というご意見も…)『すごい!』の一言です。新訳版な為か、翻訳もの特有の読み辛さも感じず、のめりこみました。シンプルにして華麗、すべてが収まるべきところに収まるところは、美しさすら感じました。古典的傑作と称されるのも納得です。初心者の私が言うのもおこがましいですが、オススメしたい1冊です。2012/11/21
aoringo
84
婚約したばかりの美しい女性。ある晩、婚約者の父親が何者かに惨殺される。アリバイを証明しようとするが、その時寝室には元夫が忍び込んでいたと言う事実を隠さなくてはいけない。圧倒的に不利な状況で窮地に立たされる。不朽の名作と言われる本書だけど、面白かった〜!皆んなが彼女を疑う中、一人だけ無実を信じる探偵役の精神科医が素敵だった。これを機会にこの作者の作品をどんどん読んでいきたいな。2025/01/07