感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
56
著者のシリーズ・キャラクター H.M卿、フェル博士、マーチ大佐が、不可能犯罪の謎を解く短編集です。いやいや、これは無理でしょう、というお話はあるものの頭の体操には丁度良い読み物と思います。全9話と短めの作品で、キレの良さは全集の中では一番。紛失した遺言書の在りかを推理したのは「パリから来た紳士」、足跡のない砂浜で絞殺された女「見えぬ手の殺人」、フェル博士が出会った男の問わず語り「とりちがえた問題」、謎の会社の仕事とは「ウィリアム・ウィルソンの職業」、主なき声からの脅迫「奇蹟を解く男」がマイ・ベストです。2020/06/30
えーた
28
ディクスン・カーの短編集の3巻。名品「妖魔の森の家」と並び称される「パリから来た紳士」収録の全9話。最初の数十ページ読んで、これは絶対面白いやつだと確信。カーが生み出した三大プロタゴニスト、ギデオン・フェル博士、H・M卿、マーチ大佐が登場し、内容も不可能犯罪から怪奇趣味、ユーモア、歴史もの(そしてカー作品には必ず出てくる、どこか天然で可愛らしい女性)など色とりどりであり、カー作品の魅力がこの一冊にギュっと凝縮された名短編集だと思う。私のイチオシは「パリから来た紳士」と「外交官的な、あまりにも外交官的な」。2023/08/20
星落秋風五丈原
26
アメリカ独立戦争にも参加したフランス人ラファイエットの末裔アルマンがNYにやって来る。彼は友人の婚約者マドモアゼル・クローディーヌが貧窮にあえいでいるのを救うために、彼女の母親マダム・テヴネに会いに来たのだ。ところが駆け付けた時にはテヴネは口がきけず、玩具のうさぎと晴雨計を交互に見るばかり。何かの暗号だと思うがアルマンには到底解けない。その時アルマンがNYで入った酒場の飲んだくれ、ムッシュ・バーリーがヒントをくれる。ミステリ作家へのオマージュ「パリから来た紳士」2020/09/22
みっぴー
21
皆様のレビューにもあるとおり、表題作パリから来た紳士のラストが衝撃でした。嬉しすぎる演出。ラストの奇蹟を解く男もよかったですねー。寺院から飛び出してくる美女!出だしから興味を引かれました。今回の短編集は、バンコランさんを除くフェル博士、マーチ大佐、HM卿と、カーオールスターが登場したのが嬉しかったです!2015/07/07
本木英朗
19
カー短編集の3巻である。俺は2001年に一度読んだっきりなので、今回で2回目である。「パリから来た紳士」からはじまって、「奇跡を解く男」までの9編の短編を収録している。みんな非常に面白かったが、中でも俺は「見えぬ手の殺人」や「ウィリアム・ウィルソンの職業」などには本当に満足だったよ、うん。しかしここでは「外交官的な、あまりにも外交官的な」を一番にしておこうかな。これは本当におススメである。まあ、全部そうなんだけれどもねえ。さすがカーだよ。いいねえ、またいつか読もうと思う。2019/09/28




