感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
geshi
22
不倫関係の警官コンビが職場にプライベート持ってきてギスギスするのが、どうにも受け付けない。そのせいか、物語にちゃんと入り込めず読み終えてしまった。カットバックにより登場人物の内部を見せつつ、底までは見せずにしっかりとレッドへリングにしている描写の細やかさ。淫婦はなぜレイプされ殺されたのか?を巡り、証言を突き合わせ、じりじりと捜査の手を伸ばしていき、重要容疑者が二転三転するストーリーテリング。著者の巧さは伝わるが、真相のあまりのストレートさに、シンプルすぎると思ってしまうのは、やむなし。2015/01/08
藤月はな(灯れ松明の火)
16
ドガの描いた「踊り子」は単なる踊り子ではない。それはその時代、踊り子が娼婦の役割も果たしていたというなのだ。アル中の校長、人に悶着を起こさせるのが好きな教師、情緒不安定な教師、妄想で視姦する教師、淫乱な寮母、幼稚なプライドと頭の良さにすがり、模範生の皮を被った小賢しい高校生など「悪の経典」の学校を彷彿とさせられ、辟易しました。真相の追求などは証言を基に矛盾を潰して行くのが素晴らしいですが人間性に幻滅させられます。特に犯人に対してジュディが言った言葉は女の身の上としては他人事のような侮辱に近いです。2012/01/06
がんもどき
10
寄宿学校でダンスパーティーが行われているときに前後して、その学校の副校長夫人が殺される。警察が捜査に乗り出すが、まあこの学校関連の人物たちの碌でもないこと。誰が殺していてもおかしくなさそうな中で犯人の目星は二転三転する。登場人物がただでさえ多いのに警官側の恋愛事情はちょっと余計だなと前作に続き思ったが、やはりそれがいいという読者もいるってことなんだろう。でも面白かったが冗長だというのが自分の感想だ。2023/07/29
koo
5
ロイド&ヒルシリーズ3作目は全寮制の学校での殺人事件、登場人物たる教職者が変人ばかり被害者の造形も現代ではありえないですけど通常の捜査をひっくり返すメインプロットは3作品の中で本格純度が最も高いです。ただその為にわざわざプリーストリーの「夜の来訪者」のかなりのネタバレをしているのは頂けないですね。また更に捻りを入れたかったんでしょうが最後の捻りが蛇足です。ロイド&ジュディの不倫や登場人物たちの恋愛で緊張感なく進行するので読みやすいんですがストーリー進行には邪魔と感じてしまいます、ちょっと勿体ないですね。2022/07/01
造理
5
★★★☆☆ 本格ミステリとしてはロジカルなフーダニットとしてよく出来ています。いろいろな仮説を経てある証拠から意外な真犯人にたどり着きます。しかし探偵役のコンビが不倫してたり事件もレイプがらみで、その他もどろどろした人間関係が多すぎて少々うんざり(笑)2016/12/18