出版社内容情報
第四作品集に至っても、未だ驚異的なクオリティーを保ちつ<ブラウン神父>シリーズ。不可解かつ幻想的な殺人の謎「大法律家の鏡」、この世の出来事とは思えぬ状況で発生した金塊消失事件「飛び魚の歌」、常識を超えたユーモアと恐怖の底に必然的動機がひそむ「ヴォードリーの失踪」など珠玉の10編を収録。シリーズの精髄ともいうべき逆説とトリックの凄みが横溢する、唯一無二の名短編集が、読みやすく新しいカバーでリニューアル!
内容説明
第四作品集に至っても驚異的なクオリティーを保ちつづける“ブラウン神父”シリーズ。容疑者の不可解な行為の謎と意外な真相「大法律家の鏡」、この世の出来事とは思えぬ状況で発生した金塊消失事件「飛び魚の歌」、常識を超えたユーモアと恐怖の底に必然的動機がひそむ「ヴォードリーの失踪」など全10編を収録。シリーズの精髄である逆説とトリックが冴える、逸品揃いの短編集。
著者等紹介
チェスタトン,G.K.[チェスタトン,G.K.] [Chesterton,Gilbert Keith]
1874年イギリス生まれ。作家、評論家。逆説と諧謔の大家として知られ、“ブラウン神父”シリーズに代表される短編推理小説は、コナン・ドイルの作品と並んで後世の作家たちに計り知れない影響を与えた。1936年没
中村保男[ナカムラヤスオ]
1931年生まれ。東京大学文学部英文科卒。2008年歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kircheis
102
★★★☆☆ ブラウン神父シリーズ第4作。 最初と最後が繋がっており、その間にいつもの短編が挟まれる形式になっている。 なかなかおもしろい趣向だと思うが、各話の質としてはこれまでのシリーズの中では低い方だと感じた。 ただしシリーズ中では目立たないというだけで、決してつまらない訳ではない。中でも『大法律家の鏡』と『世の中で一番重い罪』がお気に入り。 『メルーの赤い月』も地味だけど悪くなかった。 他のは少し非現実的過ぎたり、論理が飛躍し過ぎたりする。特に『飛び魚の歌』は本当にやれば普通にバレそうだ。2019/11/25
aoringo
77
毎日お昼休みに一、二篇ずつ読むのを楽しみにしていたのだけど読み終わってしまった。どうして人が隠しておきたい悪事を暴くのか、ブラウン神父が持論を語るシーンが印象深かった。聖職者視点で犯人の内面まで深掘りするので、相手は言い逃れできない。フランボウとブラウン神父の姪が登場!2024/08/12
のざきち
16
ブラウン神父シリーズ第四短編集。隠居した元相棒フランボウを訪れたブラウン神父。近所に滞在しているアメリカ人観光客から探偵理論を尋ねられた神父は、過去に解決した事件を例示することでその探偵法を明らかにしていく...第四弾ともなるとさすがにマンネリ化しそうですが、冒頭と末尾の書き下ろし短編で八編の短編を挟むことで連作としての一貫性が生まれ、独特の雰囲気を醸し出しています。本書の推しは「ヴォードリーの失踪」と「マーン城の喪主」。2020/10/28
ハルバル
11
さすがにトリックの新鮮さは薄れてきている一方で、ブラウン神父の思想(ひいては作者の思想)には深みが出てきて、初期以上にハイ解決、では終わらないところがいい。ブラウン神父は人間の本質を見抜く目を持ち、たとえ犯罪者であっても改悛した者への態度は慈愛がこもっている。反対に、傲慢という悪魔に取り憑かれた人間を厳しく断罪する。個人的に、もはやミステリーとしてのトリックは体裁というかオマケみたいなもので、作者が本当に書きたかったのは解決後の説諭なのかもしれない。フランボウがすっかり良いパパで笑った2017/09/02
73番目の密室
9
数年ぶりのブラウン神父シリーズ。長らく海外ものから遠ざかっていた翻訳アレルギー者にはチェスタトン作品は厳しかったのか、予想外に読了まで時間を食ってしまった。とはいえ現代日本に於いても通じ得る風刺・諧謔・逆説の数々を堪能でき満足。この時代にこれだけ俯瞰的に物事を捉えることができた著者は改めて偉大である。神父独特の推理方法も開陳されており、シリーズファンには必読の1冊だろう。そしてやはりフランボウは見事な相棒役だった。引退は残念…個人的ベストは『大法律家の鏡』。詩人の奇妙な行動の理由付けが素晴らしい。2018/01/19