内容説明
1巻に引き続き、本邦初訳作品多数を含むF・W・クロフツの短編を収めたファン必携の作品集。アリバイ破りの名手にして、丹念な捜査と推理が持ち味のフレンチ警部のかがやかしい功績を描く。絵画購入依頼が意外な展開を見せる「グルーズの絵」、アンソロジーに書き下ろした“完全犯罪”に実在の元警視が挑んだ解決編が付属する「小包」など、多彩な作風が楽しめる全8編を収録。
著者等紹介
クロフツ,フリーマン・ウィルス[クロフツ,フリーマンウィルス] [Crofts,Freeman Wills]
1879年アイルランド、ダブリン生まれ。鉄道技師であったが、病を得て長く休養した間に構想した『樽』を1920年に上梓し、好評を博す。1957年没
井上勇[イノウエイサム]
1901年広島県生まれ。東京外国語大学卒。翻訳家、ジャーナリスト。1985年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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セウテス
83
【フレンチ警部短編集】第2弾。〔再読〕此方の方が、第1弾よりも長めの作品を集めている感じ。フレンチ警部以外の作品もあり、窃盗犯の鮮やかな手口を主軸に置いた作品もありで、長編とはひと味もふた味も違う。これから長編が作り直された様に感じる作品も在るのは仕方がないのですが、短編としてちょうど良いまとめであると思う。また今回も倒叙ミステリが入っているが、趣きの全く違う2作品で、両方が在る事で面白さも増しているだろう。架空の事件を警察官らで推理していく「小包」と、珍しい設定の物語もありクロフツ好きには興味深かった。2021/01/14
本木英朗
18
英国の黄金時代本格ミステリ作家のひとりである、F・W・クロフツの、日本オリジナル短編集・第2弾である。もちろん俺は今回が初めてだ。今回もみんな面白かったが、やはり殺人しか起きない点を考えると、やっぱり総計では75点くらいでしょうか? まあ、別にいいけれどさあ。……とりあえず以上です、ハイ。2025/04/06
J・P・フリーマン
12
東京創元社の復刊フェアで購入しました。フレンチ警部が活躍する話のほか、多彩なストーリーが収められています。「小包」は当時の企画により、クロフツが犯人の犯行を描いて、本物の元警視が解答編を書くという異色の作品。ただ、解答編が仮定の上に仮定を築いているので、ふわふわしている感じがします。この調子ならクロフツが最後まで書いてくれたほうがすっきりしたかも。2019/10/08
Inzaghico (Etsuko Oshita)
9
昨日紹介したものとは少々毛色が異なり、こちらは人が死なない作品があったり、そこはかとないユーモアが漂う作品があったりする。窃盗の鮮やかな手口が冴え渡るのが「ペンパートン氏の頼まれごと」や「グルーズの絵」だ。後者は、最後に視点がずれて、ピントがピタリと合う爽快さを味わえる。化けの皮がはがれた犯人のいらいらが募る過程は、思わず笑ってしまう。こういう笑いがある作品は、クロフツには珍しいのではないか。2019/11/01
elf51@禅-NEKOMETAL
7
いよいよクロフツも読み出した。あまり出ていないのでこの本から。クロフツは鉄道技術者だったので,きっちりした組み立てで文章もストーリーも積み上げる感じ,好感が持てる。なんせ100年前だが,ひねりはよく,シンプルに楽しめる。やはり鉄道がらみの小品はいい。2020/10/09