内容説明
豪雪のため、オリエント急行内に閉じ込められてしまった乗客たち。翌朝、その中の一人が無数の傷を受けて死んでいた。たまたまその列車に乗り合わせていた名探偵エルキュール・ポワロの、御自慢の灰色の脳細胞が働き始める…。だが、乗客には全員にアリバイがあった!卓抜なトリックを誇るクリスティの作品中でも、全世界の読者を唸らせ、今や古典的名作といわれる代表的長編。
著者等紹介
長沼弘毅[ナガヌマコウキ]
1906年11月21日、東京に生まる。1928年東大法学部卒業
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クプクプ
77
先日、読書メーター500レビューも達成したし、今まで自分で読みたい本を選んで読んでいましたが、もっと読書の引き出しを増やそうと思い、この本は母に選んでもらい読みました。旅行がテーマというのがよかったですし、誰が犯人か最後までわかりませんでしたが、オチがよく、読後の余韻に浸っています。私は今までミステリーを余り読んでこなかったので、アガサ・クリスティはもちろん、日本のミステリーにも、今年は挑戦したいと思えた読書経験になりました。2023/04/29
いちろく
57
中学生の時以来の再読。豪雪の為に閉じ込められたオリエント急行内で発生した刺殺事件。乗り合わせていた探偵エルキュール・ポワロが事件の解決の為に動くが、乗客全員にアリバイがあった訳で、、、。当時、予備知識無しで読めた事、そして他の多くの類似作を読む前にこの本に出会えた事は、本当に幸運だったと思う。知っていれば当たり前に思い、こんなにも衝撃は受けなかったはずだから。私にとってミステリを読む楽しさを教えて貰えた原点の一つ。ページを捲る度に懐かしさがこみ上げてきた。2017/06/19
山犬
37
三谷版のドラマを見て気になって原作を読んで見ました。ドラマ版はちょっとコミカルに描かれていたなと原作は、常に探偵側の視点のみだったのが一番の違い。トリックは、読みながら考えてもわかりにくいまさかあんな大胆な方法だった。 2017/07/09
はやしま
29
映画を見てきた夫が本棚から出していたのを手にとって読み始めたら止まらず読了してしまった。何度も読んでいて犯人もプロットもわかっているのに。とはいえ忘れていることもあって、冒頭はシリアでのエピソードからだったんだ。かつてシリアがフランスの植民地だった時代背景が伝わる。1959年初版なためか訳文に時代を感じる。新訳で読み返して見たら違った絵が見えるかもしれない。2017/12/16
つみれ
22
なんというのか、真相を知った今であるからこそ、このミステリーの目指したところや凄さといったものがわかる。この種のトリックの先駆的な作品ということであれば、尊敬の念を抱かずにはおれない。だが、海外ものに慣れない身としては、列車の中という変化に乏しい風景描写やなかなか頭に定着してくれない人名などに苦戦し、純粋に謎に向きあえなかった感がある。実にもったいないことだ。終盤に及び、畳み掛けるようにして事件が解決するのと、結末が思いがけず粋なのとが相まって、なんとも爽快な読後感を与えてくれる。2017/07/17