出版社内容情報
エラリー・クイーン[エラリークイーン]
著・文・その他
中村 有希[ナカムラユキ]
翻訳
内容説明
ニューヨークの名門ハッター一族を覆う、暗鬱な死の影―自殺した当主の遺体が海に浮かんだ二ヶ月後、屋敷で毒殺未遂が起き、ついには奇怪な殺人事件が発生する。謎の解明に挑む名優にして名探偵のドルリー・レーンを苦しめた、一連の惨劇が秘める恐るべき真相とは?レーン四部作の雄編であり、海外ミステリのオールタイムベストとして名高い本格ミステリの名作。
著者等紹介
中村有希[ナカムラユキ]
1968年生まれ。1990年東京外国語大学卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
119
早い段階で犯人の察しはついてしまい、以降の物語は察しを確信に変えるものに過ぎず、解っちゃった上で読むには冗長すぎた。新訳のせいか読みやすいがやっぱり長い。この長さはもはや時代に合わない気がする。新訳のついでにポイントを押さえた短縮版として出版されたら、そちらを読んでいただろうな。2023/04/17
涼
80
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/07/post-5f5d0b.html やはり名作です。実際に読んだのはunlimittedで古い訳なので、どうかなと思うところもありました。2023/07/22
オーウェン
68
海外ミステリの名作でも代表作になるようなクイーンの作品。 自殺したヨーク家の当主。 そしてヨーク家の屋敷では毒殺未遂が起き、警察と名優のドルリー・レーンが捜査に当たる。 事件の謎を解くカギは幾つかある。 例えば目撃者が嗅いでいるバニラの香り。 そして凶器になったマンドリン。 毒薬の扱いなどを経て、レーンがどこで犯人の目星をつけるのか。 原作が1941年ということで、確かにこの犯人像は強烈であり、レーンも思案の末この解決方法を選択している。 事件後の余韻に苦みが残る結末をもたらす。2023/10/02
雪
59
『Xの悲劇』の新訳版が読み易かったので、引き続きこちらの新訳版を。気合を入れて読み始めたものの、序盤はなかなか進まず苦戦。途中で珍しく犯人を予想できてからは、どんどん読むスピードが上がりました。真相が分かってしまえばそれ以外考えられない、なぜそんな簡単なことに気づかなかったんだろうとなるんですが、それまでは全く見当が付かない。まさに名作たる所以なのかなあと思います。残りの二作品もできれば新訳が出るのを期待しています。2024/08/14
Kotaro Nagai
25
1932年のクイーン4冊目。ニューヨークの名門ハッター家に起こる殺人事件に引退した名優ドルリー・レーンが捜査に携わる2作目。読みごたえありの傑作でした。国名シリーズ同様読者にもレーンと同じ手がかりが与えているにも関わらず犯人の推理が難しかったですね。レーンの最後の謎解きでなるほどと納得できます。推理と同じくらい楽しめたのがサム警視とのやり取り。サム警視は国名シリーズでのヴェリー部長刑事をもっとふくらました人物造形で、時にレーンのワトソン役を務めたり思い込みから失敗したりと親しみやすい人柄で気に入ってます。2024/08/30