出版社内容情報
荒野に建つ巨大な屋敷“黒い家”が、一夜にして忽然と消失するという強烈な謎と名探偵エラリーによる鮮やかな解明を描いて、著者の中短編でも随一の傑作と評される名品「神の灯」を巻頭にいただく、巨匠クイーンの第二短編集。そのほか、第一短編集『冒険』同様「……の冒険」で題名を統一した4編に、それぞれ異なるスポーツを題材にした連作4編の全9編からなる本書は、これぞ本格ミステリ!と読者をうならせる逸品ぞろいである。
内容説明
人里離れた荒野に建つ巨大な屋敷が、一夜にして忽然と消失するという不可解極まる謎と名探偵エラリーによる解明を鮮烈に描き、クイーンの中短編でも随一の傑作と評される名品「神の灯」を巻頭に掲げた、巨匠の第二短編集。そのほかにも野球、競馬、ボクシング、アメリカンフットボールが題材のスポーツ連作など、これぞ本格ミステリ!と読者をうならせる逸品ぞろいの全9編収録。
著者等紹介
中村有希[ナカムラユキ]
1968年生まれ。1990年東京外国語大学卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
315
事件自体も真相解明のロジックも、解説にあるように、『エラリー・クイーンの冒険』より見劣りするのはたしか。しかし、読み口のあたりの良さというか、とっつきやすさはこちらの方が上ではないだろうか。著者クイーンの文章の癖なのだろうか、もってまわった語りのせいで、物語冒頭で人物の相関関係がわかりづらかったり、状況が頭に入ってこないことがたびたびあったが、前作よりは改善されている。シャーロック・ホームズの作品群も、後半は探偵が出張る必要のないような、些細な事件がたくさんあるが、同じような経緯を辿っている。2021/04/13
Kircheis
262
★★★☆☆ エラリー・クイーンの短編第2弾。 まず名作と言われる中編『神の灯』で幕を開ける。これは確かに意外かつ論理的な解決でさすがクイーンといった感じ。後に横溝正史がジュブナイルでこのトリックを転用している。読後感も爽やかだ。 他には前作の流れを引き継いだ「冒険物」が4作、『ハートの4』でエラリーと付き合うことになったポーラ嬢とスポーツにまつわる事件を扱う連作が4作収録されている。どれも中々のクオリティ。 ポーラは本気でエラリーに尽くしているのにエラリーが若干遊びぽいのが気になった(笑)2021/01/17
セウテス
92
【エラリー・クイーン短編集】〔再読〕綾辻氏の「黒猫館の殺人」の感想にも書いた、「神の灯」を含む短編集。屋敷が丸ごと一夜にして消失してしまう大掛かりなトリックと、その裏に隠されたもう一つのトリック。多くの作品の種になったであろう本作は、オマージュ作品を思い出しニンマリとしてしまう。4作の「冒険もの」と「スポーツもの」はトリックもさることながら、味のある登場人物が楽しめるシリーズだろう。如何せんエラリーは個性豊かな女性たちに、案の定振り回されてしまうというのも、本作ならでは。短編だからこその、軽快さが良い。2020/09/16
中原れい
84
ちまちまと読んでました。スッと入ってくるから新訳すてきだなあ^^ 神の灯はもちろん、短いぶん謎解き部分が凝縮されて雪崩打ってくるこの感じが愛されるわけですよ~これ!欧米の作は時代の古いころから国際色豊かなのも驚かされるところ、日本も盛んに出してくれてますがアジア全部混じってるのはご愛敬。カギワ・ジトって元はどこのどんな名前だったやらwゆっくりしか読めなかったけど堪能しました。2023/01/04
yukision
73
久しぶりのエラリークイーン。荒野の屋敷が一夜で跡形もなく消え去るという「神の灯」が読みたくて手に取った。他の8篇もそこそこ良かったが,やはり「神の灯」が一番だった。2021/09/16