出版社内容情報
珠玉の推理短編を年代順に集成し、一九六〇年の初版以来版を重ね現在に至る『世界短編傑作集』を全面リニューアル! 最終巻となる本巻にはアリンガム「ボーダーライン事件」をはじめ、ベントリー「好打」、コリアー「クリスマスに帰る」、アイリッシュ「爪」、パトリック「ある殺人者の肖像」、ヘクト「十五人の殺人者たち」、ブラウン「危険な連中」、スタウト「証拠のかわりに」など珠玉の名作を収録!
内容説明
欧米では、世界の短編推理小説の傑作集を編纂する試みが、しばしば行われている。本書はそれらの傑作集の中から、編者の愛読する珠玉の名作を厳選して全5巻に収録し、併せて19世紀半ばから1950年代に至るまでの短編推理小説の歴史的展望を読者に提供する。本巻には、第二次大戦を挟んだ、騒々しいが活気溢れる時代の名作を集めた。
著者等紹介
江戸川乱歩[エドガワランポ]
1894年三重県生まれ。1923年の『新青年』誌に掲載された「二銭銅貨」でデビュー。以降、「パノラマ島奇談」等の傑作を相次ぎ発表、『蜘蛛男』以下の通俗長編で一般読者の、『怪人二十面相』に始まる少年物で年少読者の圧倒的な支持を集めた。推理小説の研究紹介や、新人作家育成にも尽力した巨人である。1965年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
孤独な建築家の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
111
ネロ・ウルフがニーロ・ウルフ。発音的にはそちらが正しいのかな。顔のない遺体なら、トリックは想像つくが、今回はそれが二体というのが特色。動機の一つが男性嫌悪というのも、探偵が女嫌いなだけに面白い。「悪夢」の夫が怖いと感じたのは、私の考え過ぎだろうか。ヘクトとブラウンが良かった。「黄金の二十」であげられている長編の中で、読んでいないのは『リーヴェンワース事件』だけ。東京創元社で出してくれるといいのに。じゃなきゃ、論創社。短編でルブランの『八点鐘』をあげているのが嬉しかった。2019/05/17
KAZOO
107
このシリーズ最終巻の5冊目です。ここには12の作品(というかひとつはクイーンによる「黄金の二十」という推理小説の選択ものですが)がおさめられています。わたしの好きな「爪」やフレドリック・ブラウンの作品のほか、今回はカーの短編が入れ替えられていてより面白い「妖魔の森の家」が収められています。戸川さんによる巻末エッセイがいつも楽しめました。2019/06/18
本木英朗
37
〈世界推理短編傑作集〉5巻目である。この巻ではフレドリック・ブラウンとカーター・ディクスンしか覚えていなかったんだけれど、他の作者も超凄かったわ。旧訳よりもよかったです、ハイ。まあでもやっぱり「妖魔の森の家」は、本当に大満足だったかな、うん。さらに最後にエラリー・クイーンの「黄金の二十」って評論(ではないけれど)もよかったです、ハイ。これもやっぱり旧訳では読んでいてもさっぱり分からなかったから、超凄いのよね、うん。……というわけで次は6巻で会いましょう!2023/06/20
Aminadab
26
1936~1951年。解説によるとこの時期から長編ミステリの出版点数が急増するらしい。『Yの悲劇』が1932年、『三つの棺』が1935年、『そして誰もいなくなった』が1939年。日華事変で発表機会を奪われた乱歩が、カーなど英語作品をむさぼり読んでいた時代だ。他方で本集収録の「クリスマスに帰る」のコリアーや「危険な連中」のブラウンなど短編の名人も登場する。本集の目玉はもちろん「妖魔の森の家」だが(旧版ではカーは別作品が採られていたと解説にある)、私はアリンガム「ボーダーライン事件」が何だかとても好き。2025/02/12
いっくん
26
『ボーダーライン事件』間抜けな警官と狡い警官『好打』そんな危険な○○○お断り(笑)『いかさま賭博』お前らのやった事は全部エブリシングお見通しだ!『クリスマスに帰る』いやいや、直ぐに帰らなきゃ!『爪』特別料理『ある殺人者の肖像』長い!『十五人の殺人者たち』題名からの反転が素晴らしい!『危険な連中』狂人の衝撃『証拠のかわりに』余計な事を頼んだばっかりに…『妖魔の森の家』H・M卿がピクニックで一杯食わされて…もう!食いしん坊なんだから(笑)『悪夢』怖っ!『黄金の二十』中には積読本がいくつか、読まねば(^_^*)2019/06/30