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殺す・集める・読む―推理小説特殊講義

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  • サイズ 文庫判/ページ数 303,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488070472
  • NDC分類 902.3
  • Cコード C0195

出版社内容情報



高山宏[タカヤマヒロシ]
著・文・その他

内容説明

ホームズ冒険譚を世紀末社会に蔓延する死と倦怠への悪魔祓い装置として読む「殺す・集める・読む」、マザー・グース殺人の苛酷な形式性に一九二〇~四〇年代の世界崩壊の危機を重ね合わせる「終末の鳥獣戯画」他、近代が生んだ発明品「推理小説」を文化史的視点から読み解く、奇想天外、知的スリルに満ちた画期的ミステリ論。

目次

殺す・集める・読む―シャーロック・ホームズの世紀末
世紀末ミクロ・テクスト―推理小説と顕微鏡
ホームズもタロットカードも―データベースの文化史へ向けて
テクストの勝利―吸血鬼ドラキュラの世紀末
切り裂きテクスト―殺人鬼切り裂きジャックの世紀末
病患の図表―G.K.チェスタトンのアンチシステム
探偵と霊媒―アガサ・クリスティー『死の猟犬』
終末の鳥獣戯画―童謡殺人と現代
『二銭銅貨』の経済学―デフレと推理小説
暗号の近代―『二銭銅貨』を何がうんだか
昭和元年のセリバテール―パノラマ島のピクチャレスク
法水が殺す―小栗虫太郎『黒死館殺人事件』
この本は、きみが解く事件

著者等紹介

高山宏[タカヤマヒロシ]
1947年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、東京都立大学人文学部教授。英文学から博物学、美術、建築、庭園、映画、ファッション、漫画、江戸戯作に至るまで、意表つく切り口からその「異貌」を明らかにする博覧強記の「学魔」
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

コットン

57
ホームズものを文化的視点から読み解く本。19世紀末、ガス灯から電灯へ移行することにより逆説的に夜に魅了される風潮がミステリーへと誘い、図書十進分類法が発明されピンカートン探偵事務所が設立され新聞が普及しつつあったそんな時代にデータ収集・検索のプロであるホームズが活躍した。アウトサイダーとしてのホームズだからこそ現代にも通用するのでしょう。2019/12/31

へくとぱすかる

30
「推理小説特殊講義」とあるように、ふつうの推理小説論を突き抜けて、文化史の中に位置づけようという試み。冒頭の全体タイトルにもなっている論考は、シャーロック・ホームズを収集家としてとらえ、犯罪をデータベース化する、ホームズの行動癖について分析している。ラストでは乱歩「二銭銅貨」について論じているが、ここまで時代にリンクした作品だとは、思わなかった。世界・日本の当時の経済の動きを考えると、「二銭銅貨」が大歓迎された理由が、まさに時代にマッチしていたということとして、きちんと説明されてしまうのには驚く。2014/08/17

春ドーナツ

11
ヴィクトリア朝。19世紀末。という、時代の特殊性の要請により、形而上学的に「推理小説」というジャンルが産声を上げたのだ! 様々な例証を元に文化史的に論じられていく。驚いたのは先日読んだばかりの「吸血鬼ドラキュラ」が俎上に載せられていたこと。一冊の本はもう一冊の本を招き寄せるのだ。好むと好まざるとにかかわらず。さらに波及して、ちらっと触れられていた「ジキルとハイド」も近日読む予定で用意してあった。ある種の系統樹のように、予め「何か」によって私の読む本は決定済みなのかしら。という思いがよぎる。読書の奥深さよ。2017/08/06

spica015

11
博覧強記の著者が繰り広げる推理小説論。ホームズを皮切りに推理小説からその時代の構造を読み解く。膨大な知識と豊富な語彙に圧倒され、その慧眼には驚かされるばかりだが、時折ユーモアも挟まれており、楽しく読めた。クリスティーの『死の猟犬』についての論考は、未読作品だけに興味をそそられるが、『吸血鬼ドラキュラ』をテクストの視点からミステリ的に捉えた論考がユニークでいて的を射ており、印象に残った。2017/07/20

ふるい

10
なぜ19世紀末にホームズという探偵が誕生したのか?そこらへんは面白く読めたが、あとはなんだか難しくて流し読み気味になってしまった。そのうち再読したい。推理小説はその時代の文化を反映しているんだな。2017/07/30

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