出版社内容情報
祖父が遺したのは大量の古書と、
二十あまりの黒檀の小箱
対独協力者として弾劾された教師が
晩年探し求めたものとは――
祖国、信仰、そして音楽の記憶を辿るべく
青年は歴史の迷宮に足を踏み入れる
〈図書館の魔女〉シリーズの俊英が贈る
知的探求の喜びに満ちた最新長編ミステリ
二〇一七年、フランス中部に位置する都市リモージュの新聞社に勤める事件記者ジャンゴ・レノールトは、亡き祖父マルセルの遺品整理のため、彼が晩年を暮らした寒村を訪れる。戦後、対独協力者として断罪された祖父は、一族から距離を置いてこの地に隠れ住んでいた。生前会うことがなかった祖父が遺したのは古書の山と、二十あまりの黒檀の小箱──そこに隠された意味とは何か? ジャンゴは西洋古典学を研究する大学院生ゾエ・ブノワの協力のもと、祖父が希求した真実を求め歴史の迷宮へと足を踏み入れる。〈図書館の魔女〉シリーズの俊英が満を持して贈る、知的探究の喜びに満ちた長編ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほたる
11
祖父が遺したものを読み解いていくうちに見えてくる歴史。地道に自分の中で考えを組み立てつつひとつの答えに辿り着く、学び考える過程の大切さを思い知らされる。一見して関係のないものどうしを繋げる、その発想への持って行き方が良い。ゆえにタイトルが強く印象に残る。2025/04/28
登山
2
本当に満足感がある。これは他の国の他人事の話ではなく私が今も紡いでいるこの世界の話だ。音楽学、文献学、歴史学、社会学、あらゆる人文科学を「今」の社会的様相に繋げ、音楽─対位法─をフックにそれらを今を生きる個人に、その先のこれまでを生きた誰か達の歴史に繋げる。今私の頭の中に、或いは世界中に響いているのは誰かの心からの叫びだ。 他の著作と比べると地味だが、自分の研究分野に深く隣接することが多く語られていて、嬉しくなった。2025/04/28