出版社内容情報
掟か国か
竜王の侵略の足音が
精霊の恵深き国ハスティアに迫る。
だが、国を護る魔法師は
精霊の掟により魔法で攻撃することが
禁じられていた。
侵略を前に魔法師ジオラネルの選んだ道は……
『夜の写本師』で日本のファンタジイ史を
塗り替えた著者が描く新たな世界
精霊の恵み深き国ハスティア。幼い頃から卓越した魔法の力を発揮したジルは、国に仕える魔法使いとなった。だが、平和な国ハスティアを虎視眈々と狙う者がいた。竜の血を引く王を戴くドリドラヴの侵略に、掟により魔法を使う攻撃を禁じられているフォーリたちは苦悩を深める。魔法で戦えば精霊たちが滅んでしまうというのだ。ジルたちの選んだ道は……。『夜の写本師』でデビューした異世界ファンタジイの紡ぎ手が放つ渾身の傑作。
内容説明
“月影ノ乙女”は、“月ノ獣”を身の内に住まわせている。それはことあるごとに、人は独りで生まれて独りで生き、独りで死んでいくのだと囁くのだ…。精霊の恵み深き国ハスティア。ジルは幼い頃から卓越した魔法の力を発揮し、国に仕える魔法師となった。だが、平和で豊かな国ハスティアを虎視耽々と狙う者がいた。竜に変じる王を戴くドリドラヴの侵略を受け、戦火に踏みにじられるハスティアの町々。掟によって魔法での攻撃を禁じられているフォーリたちは苦悩を深める。無辜の民の命を救うためにジルたちの選んだ道は…。『夜の写本師』でデビューした異世界ファンタジイの紡ぎ手が今放つ渾身の大作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
30
一方のドリドラヴにはそんな縛りはないから相手方が有利になる。並外れた力を持っているから、他人を不幸にしないために、自分は一人でいなければならない。そう思っていたジルが、個性豊かなフォーリの同僚や先輩たちと出会い、自分の在り方を見つめなおすビルドゥングスロマン。最近時代劇ものでも登場人物紹介にイラストが入るようになった。親しみやすくなるように、との配慮だと思われるが、逆にない方が登場人物をイメージできるのにと思うこともある。今は文章から想像していく力がなくなってきたのだろうか。2024/11/28
バニラ風味
14
その国には、人間でもペットでもなく、ただそこに存在する不思議な生き物たちがいて、イリーアという。イリーアに、いたずらしたり傷つけたりすることは許されない。その国で、公認されたフォーリという魔法使いは、職業として村や工業などを守る仕事に就く。独特の世界観。そして、登場人物も多いんだよね…。途中挫折しそうになったけれど、なんとか読破。面白い所もあるけれど、私は途中で、誰が何やら…となった。ちょっと残念。2024/11/22
ゆうこ
11
読み終えた。月影の乙女という表題にしては、その乙女の活躍がそんなに多く描かれているわけではなく、乙女を宿した少女の成長譚のように感じた。『おのれを護り、互いを護り、国を護りたいという願いが、波紋にからめとられ、同調し、広がって、満ちて、円蓋となってふくらんでいく。月神よ、穏やかな日々を、怯えることのない朝を、不安にさいなまれることのないことのない夜を与えたまえ・・・』この本を読むきっかけになった『静穏に、寿ぐは、平和』長い話の中で、きっと作者が伝えたかったことはこの言葉だったのか、と納得。いい話でした。2024/12/20
入江大和
6
いやあ、長かった!久々にのんびりと異世界にどっぷりはまることができました。フォーリと呼ばれる魔法使いに、イリーアと呼ばれる不思議な獣が当たり前に共生するハスティア大公国を舞台に、迫りくる竜と戦うジル達。魔法の攻撃は禁止、防御のみしかできずに苦悩するフォーリ達。身の内に月影の乙女を住まわせるジルの決断とその後の長い長い物語でした。読み終えることが目的じゃない、その世界にいることこそが読書の醍醐味だった…と思い出しました。ありがとう、ジル、カルシー、シュワーデン、リッチェン。2024/12/17
まさ公
6
独りだけど、独りじゃない。沁みる。2024/12/02