出版社内容情報
十二歳で叔父を殺した。
その罪が、いまになって
現実を、夢を侵蝕してゆく。
亡者たちが〈恐怖〉と〈悪意〉に
分かれ争う羅刹の国の夢を共有する
少女と少年の魂の行方
並ぶ者なき幻視者が
若き日にものした幻の傑作、初単行本化
叔父を殺したことは固く秘しておくべきだった。
自殺するなんてと母が泣き続けるものだから、本当はわたしが崖から突き落としたのだとわかれば、すこしは気が楽になるかと思ったのだ。
震災で妻を失いPTSDに苦しむ叔父との同居に疲弊する家族のために、小学六年生の左右田理恵(そうだりえ)は叔父を殺した。
その四年後、理恵は奇妙な夢を見るようになる。
荒れ果てた灼熱の地で岩蔭と食糧を求める「鬼」の集団。
かれらは二つの勢力に分かたれ争い殺し合う――その法則を理恵に教えたのは、同じ夢を共有する一人の少年だった。
鬼才の幻視文学の頂点となる幻の傑作、初単行本化。解説=春日武彦・北原尚彦
■目次
「羅刹国通信」
「続羅刹国報」
「続々羅刹国――雨の章――」
「続々羅刹国――夜の章――」
「解説」 春日武彦
「津原国通信」 北原尚彦
内容説明
叔父を殺したことは固く秘しておくべきだった。自殺するなんてと母が泣き続けるものだから、本当はわたしが崖から突き落としたのだとわかれば、すこしは気が楽になるかと思ったのだ。震災で妻を失いPTSDに苦しむ叔父との同居に疲弊する家族のために、小学六年生の左右田理恵は叔父を殺した。その四年後、理恵は奇妙な夢を見るようになる。荒れ果てた灼熱の地で岩蔭と食糧を求める「鬼」の集団。かれらは二つの勢力に分かたれ争い殺し合う―その法則を理恵に教えたのは、同じ夢を共有する一人の少年だった。鬼才の幻視文学の頂点となる幻の傑作、初単行本化。
著者等紹介
津原泰水[ツハラヤスミ]
1964年、広島県生まれ。青山学院大学卒。89年、津原やすみ名義で少女小説作家としてデビュー。97年、現名義で発表した『妖都』以降、様々なジャンルを横断する作品を執筆している。2012年、『11 eleven』が第2回Twitter文学賞国内部門1位となる。14年、短篇「五色の舟」がS‐Fマガジン“オールタイム・ベストSF”国内短篇部門1位に選出される。近藤ようこにより漫画化された同作が、第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞する。22年逝去。翌23年、第43回日本SF大賞功績賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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