出版社内容情報
福岡のクリニックで働く「頼れる助産師の白野さん」には、自分とは対照的に美しい妹がいる。佳織は真澄の誇りだったが、真澄には仲の良い妹にも言えない秘密があった……。駆け出しイラストレーター、結婚して白野姓になった主婦、二人の男の間で揺れる女子大生、繊細な小学生。「白野真澄」という同じ名前を持つ者の五者五様のわだかまりと秘密。生きるのに少し不器用で頑固な者たちをを優しい眼差しですくいあげる短編集。
内容説明
頼れる助産師の「白野真澄」には、美しい妹・佳織がいる。仲の良い姉妹で、東京でモデルをしている佳織は真澄の誇りだったが、真澄にはその妹にも言えない秘密があった…。駆け出しイラストレーター、夫に合わせて生きてきた主婦、二人の男性の間で揺れる女子大生、繊細な小学四年生。同姓同名の「白野真澄」の五者五様のわだかまりと秘密を描く。この世界に同じ名前を持つ人はたくさんいるけれど、どれひとつとして同じ悩みはない。少し頑固で、生きることに不器用な人たちを優しい眼差しで掬いあげる傑作短編集。
著者等紹介
奥田亜希子[オクダアキコ]
1983年愛知県生まれ。愛知大学卒。2013年『左目に映る星』で第三十七回すばる文学賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
machi☺︎︎゛
165
白野真澄という5にんの同姓同名の5つの話。初読み作家さんでいきなり生々しい表現があってビックリしたけど最後まで読んだらすごく面白かった。同じ名前でも当たり前に違う人生がある。みんなが自分の性格や特性をうまく活かして生きやすい世の中になってほしい。これがみんな違う名前ならこんな気持ちにはならなかっただろうけど同姓同名ってだけで何か考えさせられた。自分とは180度違う同姓同名さんに会ってみたい。2021/02/25
おしゃべりメガネ
143
同姓同名の「白野真澄」五人がそれぞれに繰り広げるなんとも言えないアットホームなお話です。のんびり&のほほんとした雰囲気だけではなく、話によってはなかなかシリアスな話もあり、短編集ながらしっかりと読ませてくれます。性別も年齢も職業も違うそれぞれの「白野真澄」が些細な日常に身を委ね、これまでに見えてなかったモノや、気づかなかったモノを読者に問いかけるように展開していきます。個人的には夫にあわせて連れ添ってきた主婦の話がなかなかのインパクトで、胸にグッとささりました。奥田さん作品をこれからも追いかけたいですね。2020/12/28
モルク
137
同姓同名の男女。年齢も仕事、環境も別々で名前以外は何の繋がりもない白野真澄五人の短編集。未だ処女の助産婦、男性イラストレーター、夫に尽くしてきたが離婚を考えている妻、ふたまたかける女子大生、そして繊細な小学生。イラストレーターの話が好き。この両親の存在がすごくいい。すんなりうけいれられる。どれも落としどころがあり、読みやすく読後感もとてもいい。2022/02/27
sayuri
109
「名前をつけてやる」「両性花の咲くところ」「ラストシューズ」「砂に、足跡」「白野真澄はしょうがない」5話収録の短編集。『白野真澄』という同じ名前を持つ5人の人生の一部を丁寧に切り取った物語はバラエティに富んでいてどれも良い。妹に、夫に、恋人に感情を揺さぶられる人達、仕事や生き辛さに苦悩する人達、悩みは人それぞれだけれど、その不器用さが自分と重なる所もあって、共感したり応援したりしながら読み進めた。潔い結末あり、痛快な結末あり、感動の結末ありとラストも色々。多様性を尊重する包容力と優しさを感じ温かな読後感。2020/11/05
Ikutan
96
同じ名前でも、もちろん人生は色々。性別も年齢も異なる五人の白野真澄の物語。実は処女だという31歳の助産師。本屋でバイトをしている駆け出しのイラストレーター。密かに自己中の夫との離婚を計画する主婦。二人の真逆な異性の間で揺れる女子大生。繊細な心の小学四年生。共通アイテムは、『なまえじてん』。名前のエピソードを挟みつつ、家族や友人との繋がりを通して、それぞれの悩みを丁寧に掬い取ったお話。奥田さん、性別にかかわらず様々な世代の心の動きを描くのが上手いね。2021/02/04