出版社内容情報
夏休み、新聞部の向坂香織は、取材で訪れた丸美水族館で殺人事件に巻き込まれる。観客の目の前で堂々と行われた事件に警察はお手上げ。仕方なく警察はあの天才を呼びだすことに。
内容説明
夏休みも中盤に突入し、風ヶ丘高校新聞部の面々は、「風ヶ丘タイムズ」の取材で市内の穴場水族館に繰り出した。館内を館長の案内で取材していると、サメの巨大水槽の前で、驚愕のシーンを目撃。な、なんとサメが飼育員に喰いついている!駆けつけた神奈川県警の仙堂と袴田が関係者に事情聴取していくと、すべての容疑者に強固なアリバイが…。仙堂と袴田は、仕方なく柚乃へと連絡を取った。あのアニメオタクの駄目人間・裏染天馬を呼び出してもらうために。平成のエラリー・クイーンが贈る、長編本格推理。
著者等紹介
青崎有吾[アオサキユウゴ]
作家。1991年、神奈川県生まれの現役大学生。2012年、『体育館の殺人』で第二十二回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。大学ミステリ研究会所属の若手ミステリ作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
392
前作にも増して、さらに理詰めの推理がさえわたる一冊。早々に殺人のトリック自体は暴いてしまい、メインディッシュは犯人当て。それもかなーり緻密な物的証拠から徐々に犯人を絞り込んでいく手法はなかなか細かくて脱帽する。ただ、やっぱりちょっとこまかくてわかりにくいし、エンターテイメントとして「どんでん返し」感がないので、尻すぼみになってしまっているのが残念かな。また、徐々に探偵役である天馬の過去が明らかにされていったり、袴田妹との仲が近づいて行っているようでもあり、青春ミステリシリーズとしては先が気になるところ。2016/10/11
へくとぱすかる
293
第1作以上に論理のアクロバットがすばらしい。クイーン的作品は読んでいて快感。それにしても「ダンクーガ」って……アニオタは探偵じゃなくて作者の方じゃないかな? ついに警察が一高校生に助力を求めるという、非現実な領域に踏み込んだ作品。語り手視線をつとめるのが刑事の妹、という設定が生きる。これもクイーン父子の例にならったと言えるかも。水族館らしい描写は少ないけど、多数の容疑者を遺留物から絞り込んでいくストーリーは見事。前作の結末がちょっぴり七味のように効かせてあるプールの実験には、思わずニンマリ。2014/05/12
W-G
243
前作に続いてこちらも面白かったです。体育館よりもロジックが納得出来るものでした。エピローグが言葉足らずに感じて少しだけ残念です。2016/02/16
takaC
199
館自体には大した仕掛けはないこの館シリーズだが結構行ける。面白かった。ページを行ったり来たりしないといけなくて読むのに時間がかかるのが難点。2013/11/02
🐾Yoko Omoto🐾
183
裏染天馬シリーズ2作目。殺人事件の舞台は夏休みの水族館。容疑者は水族館職員11人。物証と状況が示す意味を確実に検証・推理し、消去法から論理的に導き出される解の美しさは、「ロジックとはかくありき」と実感させられる流石の一言。動機への言及が成される容赦なき辛辣なラストもまた非常に好みだ。爆笑ポイントは兄の不謹慎な言動に呪詛を吐く柚乃と、前作で弱味を握られたあの人の奴隷感(笑)濃い割に煩すぎない絶妙のキャラ立ちに、センス溢れる章タイトルもいい。天馬のパーソナルについての伏線もタップリ匂わせながら次作へ続く。2017/02/22