創元クライム・クラブ
薔薇の家、晩夏の夢

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  • サイズ A5判/ページ数 291p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488025359
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

赤いランドセルを背負い、薔薇の生い茂る丘に建つ夏彦伯父さんの館への道を行く。訪れるたびに出される「宿題」に頭を悩ませるのが楽しかったミコとマコだが、風が吹く初夏、体調を崩していた伯父さんがついに死んでしまった。初めて触れる「死」という概念に、ミコのなかで何かが変わっていく…。ミコも変わった。パパも変わった。変わらないのは窓辺で微笑む美しいママだけ。そして伯父さんが託した最後の「宿題」から、丘の上の鎖された世界の秘密はほころび始めた―。薔薇と暗号に満ちた幻想的ミステリ。

著者等紹介

倉阪鬼一郎[クラサカキイチロウ]
1960年三重県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。87年に短編集『地底の鰐、天上の蛇』でデビュー。印刷会社勤務等を経て、98年より専業作家となる。ミステリー、ホラー、幻想小説と、その作品分野は多岐にわたり、独特の作風を確立している。翻訳家、俳人としても活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

財布にジャック

54
倉阪さん初読みです。最初から最後まで、薔薇、薔薇、薔薇に彩られて、この舞台は幻想的で素敵でした。ただ暗号だらけで、それも簡単には解けない暗号ばかりで、ちょっと無理があったような気もします。二転三転と驚愕の真実が暴かれますが、それもミステリー・ファンなら想定の範囲で、内容よりは全編に流れる空気感を堪能させて頂きました。薔薇の花の魅力に酔う小説です!2010/10/21

みっつ

16
薔薇と暗号に埋め尽くされた幻想ミステリ。暗号を解き明かす過程や視点人物の独白を通して様々な伏線が仕掛けられ、徐々に真相として昇華する…という構図はスタンダードだけど幻想的な雰囲気と相まって破壊力抜群。何とも言えない余韻を残すエピローグも今作には相応しいのでした。これほど「薔薇」という言葉を使った作品には二度とお目にかかれないのではないだろうか。2010/08/13

nyanco

16
初・倉阪作品。あ…、暗号ものだ…。実は暗号や間取り図のあるミステリーってさあ、頑張って名探偵になりなさい感がして苦手。暗号はたくさん出てきますが、そう難解ではなく伝えられるメッセージはひとつなので、かつてこの家で何がおこったのかはすぐに解る。物語のトラップは、何があったかでは無かった。二人の子供、ミコとマコ。いつも微笑み美しいママ。ミコの赤いランドセル。丘に人が登ってこなくなったのは… 人里離れた薔薇の生い茂る洋館の不思議な雰囲気、たっぷりと堪能いたしました。2010/07/23

雪紫

14
再読。クラニーおなじみ館と暗号をセットにした幻想ミステリ。一見薔薇に彩られたジュブナイル(?)な幻想的雰囲気は十分ながら謎と暗号が解かれるたびゴシックホラーに変わっていく・・・幕引きがなんか怖い。なお暗号は相変わらずクラニー良く考えるよな。くらい難しい。しかも解き方も物語の雰囲気に良く合ってるし・・・物語より雰囲気や暗号が解かれるのを楽しんだ方が吉。クラニーの文体はやっぱりこの物語にピッタリだし(単なるファン贔屓)。2019/07/25

空崎紅茶美術館

14
一ページにひとつは「薔薇」が出てくるんじゃないかというくらい薔薇ばかりで酔う本。薔薇に囲まれた丘に建つ館とそこに住む一族の運命。ある意味では完全な密室であり、濃い空気に満ちている舞台。そして、徐々に明らかになる真実が「夢」を覆す。輪廻のように続いていくことを暗示する、こういうラストは好きです。暗号が多く、ページ数の割には文章が少なかったため、意外とはやく読めました。2010/09/12

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