内容説明
唐島英治クインテットの面々が遭遇した不思議な出来事や謎。テナーサックス奏者・永見緋太郎の鮮やかな名推理は―。ライヴ感溢れる文体が魅力の“日常の謎”的ジャズミステリシリーズ、第二弾。名古屋のライヴハウスに現れたという伝説のブルースマンにまつわる謎、九州地方の島で唐島と永見が出合った風変わりな音楽とのセッションの顛末、“密室”から忽然と消失したグランドピアノの行方、など七編を収録。田中啓文おすすめのジャズレコード、CD情報付。
著者等紹介
田中啓文[タナカヒロフミ]
1962年大阪生まれ。神戸大学卒。93年「落下する緑」を『本格推理』に投稿し入選。編者の鮎川哲也に絶賛される。同年長編『凶の剣士』(刊行時に『背徳のレクイエム』と改題)が第2回ファンタジーロマン大賞に入賞する。2002年「銀河帝国の弘法も筆の誤り」が第33回星雲賞日本短編部門を受賞。ミステリ、SF、ファンタジーと様々なジャンルで活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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み
26
さくさくと♪永見さん魅力的です、謎解きが冴えてます(^o^)音の擬音表記から音が思い描けないのが残念でなりません、3作目を読む前にジャズを聴いてみなくては勿体無いような。2017/01/09
ぶんこ
24
表題作が一番面白かったです。 事故でメンバー全員が自分の楽器を演奏出来なくなって、皆が楽器をかえて演奏し、聴衆の心を奪った・・・テクニックも大事だけれど、心が大事だということなのでしょうね。 プロというのは凄いと思える物語でした。 永見さん、まだまだ独身。 いつになったら結婚、子供ができるのか? 私の勘違いか?・・・勘違いでした。 父の名が「光太郎」になっていました。(ウエンディガールより)2015/02/22
紅はこべ
18
ジャズミステリ2作目。天才テナーサックス奏者のKYぶりはますます絶好調。前作より音楽寄り。民俗学ミステリのパロディあり。プロ野球をネタにした作品では、球団名のもじり方、ファンに怒られそうだ。「自分の耳以外の何が信じられますか」って台詞、言ってみたいもんです。 2009/08/24
kochi
15
いつもは傍若無人な振る舞いの目立つテナー奏者の永見だが、尊敬する奏者からのダメ出しで、無気力状態に。心配したリーダーの唐島は、テレビ取材に同行させるが、取材先の過疎の村では不穏な動きが… (「甘い土」)ジャズプレーヤー永見緋太郎が謎を解くシリーズ第二弾。おまけのコラムで紹介されている名盤から推測されるのは作者がフリージャズ好きということで、本書の中でも「甘い土」の、はちゃめちゃな設定に現れているのでは無いかと。例えば、今回のサックスの描写の一例「ドパピドバピドバピルレ」うーん、全部引用したい^_^2021/02/23
那由多
14
シリーズ三作の中では、ジャズの魅力がちょっとだけ落ちるかな。永見のスランプ回が含まれてる所為もあるかも。毒も今回が一番控えめ。でも『辛い飴』をはじめ音楽愛が溢れてて、スウィングしたくなる心地良さ。フリージャズの良さが理解できてない朴念仁の私ですが、ジャズの面白さは伝わってきます。球場に響く唐島さんのアメイジング・グレイス、聴いてみたい。2019/01/25