内容説明
箱に収められた文書は、壮大な謎への招待状となって推理作家を鼓舞する―第二次世界大戦終結直後、雪に埋もれたドイツの館で繰り広げられる推理ゲーム。各国から集まった、いずれ劣らぬミステリー狂の滞在客。「写本室の迷宮」と名付けられた荘厳な図書室。突如起こる当主殺し。真相への鍵は問題編のみの推理小説「イギリス靴の謎」の中に?全編に横溢する衒学趣味。交錯するミスディレクションと、縦横無尽に張り巡らされた伏線。三重構造の騙りの迷宮を構築した、破格の新鋭による第十二回鮎川哲也賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
作楽
12
作中の話は面白かったけど、審査員には不評のよう・・・。確かに本格推理で、絵画や音楽の造詣が深く、知に彩られている。最後の分厚い手記、すごい気になるんですが・・・。大きな謎とはいったい?2016/05/23
seimiya
7
3重の入れ子構造になったミステリー。作中作の中に、もう1つ作中作がある。衒学趣味が強い作品なので、西洋の歴史や芸術に疎いとよく分からない部分が多い。鮎川哲也賞受賞作で、巻末に選評が掲載されている。そこでもさんざん言われているが、一般的なミステリーとしては少し弱いかな、というのが読後の感想。作者は序文で触れている、「水面下」の謎のほうに重点を置いたのかも。タイトルからしても、某有名小説に絡めた謎なのだろうけど、今のところ自分には解けそうもない。もう一度2つの小説をじっくり読み直したら解けるのかしら。。。2014/10/24
鐵太郎
5
“The English Shoe Mystery”の目次に示された謎は一瞬で解けるけど、その他のミステリには手こずりました。このアイヒェンバッハ氏のミステリはワーテルローの描写の中とかいろいろなヒントで何とかわかったものの、そのまわりの二重三重のミステリにはお手上げ。参った。いくつか異論はあるけど、面白いミステリです。2010/08/24
左近
2
第12回鮎川哲也賞受賞作。スイスの模型屋で渡された手記。そこには、第二次世界大戦後間もなく、雪に閉ざされたドイツの城館で発生した殺人事件の様子が描かれていた…“作中作中作”が作中作の、作中作が作品の手掛かりになるという、三重構造。古式ゆかしき本格の世界からスパイ小説へ、そして歴史ミステリへと、雰囲気が変わっていく。キリスト教異端派など、色々な蘊蓄が登場し、思わせぶりな風呂敷をどんどん広げた割に、続編を念頭に置いたようなラストが、少し物足りなかったかも。でも、読んでいる最中はワクワクさせてもらった。2013/04/14
あおい
1
作中に手記、作中作、たくさん出てきてどんどん読み進めてしまった。 作品ラストの章が一番驚いた。続きがすごく気になる。2019/08/04