内容説明
星川美緒は、交通事故で両親を亡くし、幼くして天涯孤独の身となるが、近所の親切な夫婦に養われ、平穏な少女時代を送ることができた。だが、美しく成長するにつれ、大きな悩みが持ち上がった。彼女は副乳―三つの乳房を持っていたのだ。そのために、ほのかな思いを寄せていた人を事故死させたと思いこんだ彼女は、世話になった家を飛び出し、花柳界へと身を投じた。そして過ぎゆく幾歳月。ふたたび東京へ戻ってきた彼女が、初恋の人と同名の男性に巡りあったとき…!?『ミレイの囚人』から三年、日本ミステリー文学大賞を受賞した斯界の巨匠、土屋隆夫が、八十五歳の誕生日に書き上げた渾身の書き下ろし長編推理。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっちゃん
1
土屋隆夫の作品は彼が寡作だということもあり、どの作品も丁寧に仕上げられており、作家の実直な人柄がにじみでた、しかも本格推理の常道からそれないものであり、いずれも読み応えのある著作である。ただこの最新作になるとむしろ「本格」へのこだわりが足かせになって人物が描けきれないやや中途半端な出来上がりになっている。85歳のご高齢にもかかわらず長編に挑むその気概に驚嘆するのであるが、私は氏が生きてきた人生そのものから語りかける、決して「本格推理」にとらわれることない自然体の作風がふさわしいのではないかと思う。 2003/01/02
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