ミステリ・フロンティア
刀と傘―明治京洛推理帖

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  • サイズ B6判/ページ数 259p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488020064
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

慶応三年、新政府と旧幕府の対立に揺れる幕末の京都で、若き尾張藩士・鹿野師光は一人の男と邂逅する。名は江藤新平――後に初代司法卿となり、近代日本の司法制度の礎を築く人物である。二人の前には、時代の転換点ゆえに起きる事件が次々に待ち受ける。維新志士の怪死、密室状況で発見される刺殺体、処刑直前に毒殺された囚人――動乱期の陰で生まれた不可解な謎から論理の糸が手繰り寄せる、名もなき人々の悲哀を活写した五つの物語。破格の評価をもって迎えられた第十二回ミステリーズ!新人賞受賞作「監獄舎の殺人」に連なる時代本格推理、堂々登場。

伊吹亜門[イブキアモン]
著・文・その他

内容説明

維新に揺れる明治の京。奇怪な謎に挑むのは、尾張出身の若き武士と初代司法卿江藤新平。死刑執行当日、なぜ囚人は毒殺されたのか?第12回ミステリーズ!新人賞受賞作「監獄舎の殺人」に連なる時代本格推理、堂々登場。

著者等紹介

伊吹亜門[イブキアモン]
1991年愛知県生まれ。同志社大学卒。在学中は同志社ミステリ研究会に所属。2015年、「監獄舎の殺人」で第12回ミステリーズ!新人賞を受賞。日本推理作家協会ならびに本格ミステリ作家クラブの年刊アンソロジーにも選ばれ、新人のデビュー作としては破格の評価を受けた。同作を連作化した『刀と傘―明治京洛推理帖』で単行本デビューを果たす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

200
板垣退助に「余りに正義なりし為に遂にその奇禍を買うに至りし也」と評された江藤新平が、血なまぐさい明治維新期の京都で起きた殺人事件の謎を解いていく。法と正義を追求する探偵ぶりは苛烈なほどだが、尾張藩士から新政府に仕えた鹿野師光が人間らしさの視点から江藤の推理を補って真相を見つけ出す。最初は江藤の正義感に共鳴していた鹿野だが、政治を優先し人の心を顧みない姿に違和感を覚え友情が変わってしまう有様が切ない。各編とも動乱期に迷い苦しむがゆえに罪を犯してしまう動機がよく考えられており、時代ミステリとして出色の作品だ。2021/10/29

🐾Yoko Omoto🐾

164
舞台は藩閥体制が混乱極まる明治初頭。司法立法の黎明期を背景に、尾張藩士の鹿野師光と、後に初代司法卿となる江藤新平が、数々の不可思議な刃傷沙汰の真相に迫る連作ミステリ。密室やタイムテーブル、倒叙などストーリーはバラエティに富み、策謀や根回しに長けた勢力が生き残る、そんな時代なればこそのロジックが光る秀逸さ。マイベストは、ホワイダニットの意外性に舌を巻く「監獄舎の殺人」「佐賀から来た男」。互いの才覚を認め合いながらも異なる使命と正義を持ち、時代の波に翻弄された二人の男。その関係性の変遷が見事に描かれている。➡2019/02/04

遥かなる想い

151
2020年このミス国内第5位。 明治維新後の京都を舞台にしたミステリー短編集である。薩長・徳川のせめぎ合いの中で、初代司法卿 江藤新平を 主人公に据えたのが、新鮮で面白い。混乱の時代の雰囲気を 漂わせながら、事件の推理を堪能できる …大変 味わい深い作品だった。2021/05/17

buchipanda3

122
幕末から明治、何やらきな臭い時代を舞台に起きた様々な不可思議な殺人事件が描かれた本格ミステリ連作集。どの篇も鮮やかに構図を浮かび上がらせる論理性と着地となる動機がもたらす叙情性という対照的な二面を巧く掛け合わせた話を堪能できて面白かった。人物の方も法治国家実現に邁進し合理的に物事を進める江藤新平、正義という理想論を持ち人情味のある鹿野師光、不安定な政情を背景に対照的な二人が紡ぐ物語にも惹かれた。相容れない一面があっても互いを認め合い、大事を成すことを貫く姿勢が最後にミステリとしても見事に昇華されていた。2019/12/03

モルク

121
幕末から明治維新にかけた波乱の時代。後に初代司法卿となり近代日本の司法の礎を築く実在の人物江藤新平と尾張藩士鹿野師光の出会いから友情その後を事件の解き明かしを主軸に描く短編集。倒幕から攘夷そして開国という大きな問題で揺れる新生日本の京都で起こる数々の事件。その影には見逃せない様々な事情や思いがあった。それぞれの事件の時の流れを追ってどのような時代だったのかわかり、この時代がちょっと苦手な私にもこれは読みやすく理解しやすい。今後も期待できる作家さんである。2020/07/05

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