バルザック全集 〈5〉

バルザック全集 〈5〉

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  • サイズ A5判/ページ数 374p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784488019051
  • NDC分類 958

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

117
『現代史の裏面』バルザック最後の作品。作家のまさに円熟した筆力を感じる。無私の施しの美しさ、赦し、死刑への反対、教会を通さずとも神への畏敬、貴族のあるべき姿、正しい銀行家。人間喜劇ではさんざんに人の俗な事を書き散らしておいて、最期に裏面として善き人の行いを詳細に描いている。主人公のゴドフロワが最初に耳にする会話「私たちの胸にいい考えが浮かんだら、それは神様が話しかけてくれたのだと言うことを忘れないでくださいよ」 そしてこの話の最後に言葉にされる考え。神を忘れるから、悪行が蔓延るのか。深く考えさせられる。2018/04/12

夜間飛行

43
ウジェニーが金の亡者どもの求婚争いと父の強欲を堪え忍び、巨万の富と孤独の安らぎを得るまでの顛末を、グランデ家の広間に設置された「宙空カメラ」の視点から捉える。この手法はゴリオ爺さんで完成される…というのは私の勝手な推測だが…バルザックはあら皮の青年の視点と本作の場所の視点を融合することによって、ゴリオ爺さんを書き上げたのであろう。強欲と真情の織りなす社会を壮大な人間喜劇に仕立てていく為に、この視点は欠くべからざる役割を果たした。ドストエフスキーやプルーストも、この水源から巨大な力を得た事は間違いあるまい。2014/07/20

Hotspur

2
『ウジェニー・グランデ』、一昔前の世界文学全集のバルザックの巻には本作が収められていた記憶がある。傑作、但し、『ゴリオ爺さん』などと異なり、『人間喜劇』の他の作との繋がりはあまりない。『現代史の裏面』、本作は『村の司祭』『田舎医者』などと同系統。『従妹ベット』で言及されるラ・シャントリー夫人の事業。驚いたことに、『暗黒事件』『娼婦の栄光と盛衰』のコンタンソンが重要なキャラクターとして言及される。また『ふくろう党』のシボも。『人間喜劇』のネットワークには恐れ入る。2018/10/23

takeakisky

1
何やら過去のある人々の慈善事業。何処へ連れていかれるかと思えば、ふくろう党。繰り返し描かれるヴァンデの叛乱だ。コランタンへの言及。暗黒事件他周辺の話は幾つか読んだが、なかなか手に入らないふくろう党。幾分隔靴掻痒の感。仕方ない九十三年でも読むか。政変に翻弄される母と娘の確かに切ない現代史の裏面。二部、若者らしい思い込みの走るおせっかい。その相手は思いもよらぬ関係。バルザックらしい残酷な、という想いは美事に裏切られ、柄にもなくほろりとさせられる。2024/02/25

みねお

1
ここに収録されているのは「ウジェニー・グランデ」と「現代史の裏側」の二本。前書き的な背景説明が細かく長いバルザックの特長がこれらにも表れていますが、そこを乗り越えて進むとドンドン引き込まれていきます。2020/05/16

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