感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
118
『追放人』バルザックは、最後にあっと言わせる展開を持ってくることがあるが、これもそのひとつ。怪しく、不遜な老人がまさか…。その変身ぶり、最後のマントを翻して颯爽と馬にまたがって立ち去るかの如くの描写に、バルザックからかの詩人への敬意を感じる『あら皮』『ジャベール大佐』の2つは既読。魔法のランプや、金の斧銀の斧の教訓。そして、明らかに犯罪と思える財産狙いから身を守るには、この当時のパリも今の日本でも、法の抜け穴があるということ。2018/04/01
NAO
49
あら皮はどんな願いもかなえてくれる。なにより怖いのは、とんでもなく大それた願いでも、ちょっとした「おなかすいた、何か食べたい」というような願いでも、あら皮が同じように縮むということだ。あら皮の縮小を止めようとあらゆる手立てを尽くそうとするラファエルの行為はあまりにも愚かで虚しいし、契約しておきながら何とかそれを覆そうとする人間の愚かさを嘲笑うように頑として形状を変えないあら皮は、あまりにも悪魔的で崇高ですらある。バルザックの神秘趣味、怪奇趣味に満ちた「あら皮」はバルザック版『猿の手』か、『ファウスト』か。2016/12/26
まふ
5
1308年、フィリップ4世の時代のパリだ。シテ島における下宿屋の下宿生が実はソルボン教授とともにソルボンヌ大学の共同で設立したというシジェ教授と友人同士であり、その人は何と実はイタリアのゲルフ(僧侶側)に対抗して亡命したギベリン(王権派)のダンテ・アリゲリ。ギベリンが勝利したという情報が入り、晴れて帰国できることになる。という話だ。ダンテのパリ滞在はバルザックの作り話ということだが、改めて読み直すとダンテらしい奥深い哲学的考察が彼の口から出てくる。ナルホド、ビックリ。バルザックは果てしなく奥深い。2020/07/12
子牛
1
「あら皮」めちゃくちゃ面白かったです。自分の願いが叶う度にあら皮が縮まり寿命も縮まる。果たしてどうなるんだろうとハラハラドキドキでした。「シャベール大佐」主人公の選択に涙しました。やっぱりバルザックはすごい!2021/04/03
うずまき
1
「あら皮」「追放者」「シャベール大佐」収録2009/04/30
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- 不完全無欠の石晶支配者~テキトーなのに…