出版社内容情報
宇宙船を警備する人工知性紅葉の葛藤と、宇宙空間で物体がワープする際に生じる、空白の七十四秒間の事件を描いた第八回創元ＳＦ短編賞受賞作「七十四秒の旋律と孤独」をはじめ、人類が滅亡したあとの宇宙で、ヒトの遺した教えと掟に従って宇宙を観測し続けるロボットたちの日々を綴る連作〈マフ クロニクル〉の全六編を収録。永遠の時を生きる美しいロボットたちと、創造主である人間をめぐる鮮烈なデビュー作品集。
内容説明
宇宙船を警備する人工知性（マ・フ）の紅葉の葛藤と、宇宙空間でワープする際に生じる空白の七十四秒間のできごとを描いた第八回創元ＳＦ短編賞受賞作「七十四秒の旋律と孤独」をはじめ、人類が滅亡したあとの宇宙で、人間の遺した教えと掟に従って宇宙を観測し続けるマ・フたちの日々を綴る連作“マ・フ クロニクル”の全六編を収録。永遠の時を生きるロボットと、創造主である人間をめぐる鮮烈なデビュー作品集。
著者等紹介
久永実木彦［ヒサナガミキヒコ］
東京都出身。２０１７年、「七十四秒の旋律と孤独」で第８回創元ＳＦ短編賞を受賞。１９年より、株式会社ＲＲＪによる朗読音源配信サイトのＷｅｂラジオ“読んで実木彦”にてパーソナリティをつとめる（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっちゃん
155
何かを探し、見つけようとしているのだろうか。表紙の美しい空を見上げているのが本編の主人公たち、人工知性体｢マ・フ｣｢七十四秒｣は｢空間めくり｣(要するにワープ？)の瞬間にヒトには感知できず、空白になってしまう時間のことだ。｢ヒト｣がいなくなってしまってから一万年、遺された｢聖典｣に従って世界を観測し続ける彼らに起きた事件と葛藤、その顛末を語る詩的で美しい文章。深い余韻を残す物語。2021/03/20
buchipanda3
113
ヒト型の人工知性体「マ・フ」が人の社会が失われて一万年後の世界を見つめ続けた姿を描いたＳＦ連作集。叙情的な物語であり、マ・フが自我を解放しながら人の存在を思考していく展開に感じ入った。乳白色の器体は何にも染まっていない純粋なものに見える。そんな彼らが感情に揺らぐことで生じたクライマックスにハラハラした。猫鹿の出産シーンやその後に起きた出来事も印象に残っている。前半と後半の世界、何が正しいか判別は難しい。でも解を探求し続けたことに意味がある。題名に孤独とあるが、彼は彼として確かに存在していた。そう思えた。2021/02/12
オフィーリア
61
ワープ時に発生する人間には知覚できない74秒の空白時間に人知れずある想いを抱きながら闘う人口知性マ・フの物語である表題作『七十四秒の旋律と孤独』、人類の滅亡・再生・復興に寄り添ったマ・フ達の物語を壮大なスケールで描く連作短編集。人間の業もマ・フ達の価値観の変遷も等しくどこか突き放したように静謐で、それでいて色彩鮮やかに描く表現が感じ入るほど美しい。人類とマ・フは何度繰り返しても、何処までいっても幸せな結末は訪れないかもしれない。それでも小さな希望も感じさせてくれ心地よい読了感。素晴らしい作品でした。2024/03/20
さっちゃん
47
マ・フと呼ばれる人型ロボットの物語。ＳＦは苦手な私もスラスラ読める。小難しい話はなく、むしろ哲学的で美しい物語に引き込まれた。表題作は「空間めくり」（いわゆるワープ）中に生じる、人間には一瞬としか認知できない無防備な74秒間を守るマ・フの話。他の5編は、さらに一万年後の話から始まるマ・フ クロニクル。ヒトがいなくなった世界で暮らすマ・フたちの平穏な日常が、ある事件をきっかけに崩壊していく。感情を持ち始めたロボットも単なる道具なのか、ヒトはそんなにも偉いのか。マ・フたちの純粋な心が眩しく切ない。2021/03/11
りんご
42
ああ、好きだなあ。人工知性(マ・フ)とその創造主ヒト。人に造られたマ・フの方が理知的で美しいように見えてくる。マ・フ側から見た世界とヒト。なぜ争うのか、それこそがヒトの本質なんでしょうか。ぐるぐると回る世界、始まりと終わり。ずっとさみしい感じなのも好きだな。ちょっと懐かしい感じもするSFです。2023/07/05
