出版社内容情報
脳外科の最初の講義、見慣れない初老の講師は「ある患者の脳の病変が消えた。その理由を説明しなさい」と唐突に言い放つ。学生たちは数々の推論を重ねていくが一向に正解にたどり着けない。しかし、たった一人西丸豊だけが、その意外な真相を導き出す――。第11回ミステリーズ!新人賞受賞作「消えた脳病変」を含む五編収録の医療ミステリ。現役医師が放つ、“臨床探偵”西丸豊の静かな推理。
浅ノ宮遼[アサノミヤリョウ]
内容説明
医科大学の脳外科臨床講義。第一回目だというのに、初老の講師は意外な課題を学生たちに投げかけた。患者の脳にあった病変が消えてしまった、その理由を考えてみろというのだ。学生たちは推論を重ねていくが一向に正解にたどり着けない。しかし、西丸という学生ただ一人が、その意外な真相を導き出す―。選考委員が絶賛した第十一回ミステリーズ!新人賞受賞作「消えた脳病変」ほか、臨床医師として活躍するその後の西丸の姿を描いた四編を収めた連作ミステリ集。現役医師が贈る、“臨床探偵”西丸豊の静かな推理。
著者等紹介
浅ノ宮遼[アサノミヤリョウ]
1978年生まれ。新潟大学医学部卒。2014年、「消えた脳病変」で第11回ミステリーズ!新人賞を受賞。現在も医師として活躍する傍ら、精力的に執筆を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
152
臨床医師・西丸が活躍?謎解きする短編連作5編。医療ミステリー受受賞作では学生達に臨床の問題を出す榊の姿が、医療を後ろから支えると言い切った姿が凛々しかった。そのころから西丸は臨床探偵でも有った訳だ。タイトル作では達也・響子夫妻に気持ちが寄り添えてしまう自分がいてちょっと切なかった。まだまだ続編が出来そうな感じがする。勝手に期待してしまうな。2016/12/23
散文の詞
143
-幻覚パズル-幻覚がキーになるのかと思っていたら、思ってたのとちょっと違ってました。短編だから仕方ないけど、これくらいなら警察にもわかる気がしますけど。 -消えた脳病変-面白いけど、思ったとおりの結末でもう一ひねりあると良かったな。短編だから仕方ないかな。 -開眼-なんだか、よくわからないような解ったような。 -片翼の折鶴-どうして折り鶴の片翼がちぎられていたのか?それが問題なんですが、それよりも、犯人の動機がいまいち理解できません。そういう考え方もあるのかなと言う感じでした。 2021/03/12
ちょろこ
132
じっくり読ませてくれた一冊。五編からなる医療ミステリ。一つの不可解な"病の点"に対して、多角的に攻め込んで行く過程は濃密 。どれも浮かび上がる数々の矛盾点をどう崩して突き止めていくのか…そこをじっくり味わう面白さがあった。そしてミステリでありながら医師とは決して考えることをやめてはいけない、考えを放棄=患者を諦めること。そんな医師としてあるべき姿が随所に漂っているのが良かった。たどり着いた"病の答え"に思わず己の背筋を正すさまも印象的。まさに開眼。せつなさ絡み合う「片翼の折鶴」が最後、静かに心に残った。2022/04/21
さっちゃん
63
医師の西丸は臨床探偵と呼ばれるほどの診断の名手。彼を中心とした医療短編集。確かに医師は、検査データや患者の話、身体の観察など様々な要素を組み合わせてどんな病なのかを推理していく仕事だ。事件の謎を解くミステリではなく、病の謎を解く新しい形のミステリとして楽しめた。「消えた脳病変」は西丸が学生時代のエピソード。トリックの一端は途中で分かったけれど、私もその授業にいるような気持ちで読んだ。この一編だけでも現役医大生に是非読ませたい。そして、こんな先生や西丸のような医師が増えてほしい。2020/06/21
ナミのママ
56
第11回ミステリーズ!新人賞受賞作を含む連作集。医師が謎解きをする医療ミステリー、そしてがっつり病気と絡んだ作品がなかなか面白かったです。構想から連作をして書かれたものでないのでしょうか、少し関連性が薄く、主役がかすんでしまったのが残念です。ぜひ続けてシリーズ化して欲しいです。2017/03/15
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