東京創元社・ミステリ・フロンティア
ユーディット13(ドライツェーン)

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  • サイズ B6判/ページ数 317p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488017712
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

かつて画家として将来を嘱望されながら、間諜に落ちぶれた青年・不破は、自分の運命を狂わせた絵画「ユーディット?]?V」を巡る陰謀に身を投じる。著者の新境地。

内容説明

新進気鋭の画家として将来を嘱望されていた日本人青年・不破の人生は、パリの美術館に飾られた一枚の絵画によって大きく狂わされた。この絵を超える作品を、自分は決して描くことはできない―絶望から絵筆を折った不破は、酒に溺れ、ヨーロッパを流浪する。その後ある契機から間諜となって活動していた不破は、己の運命を変えた絵画“ユーディット13”がナチスに略奪されたことを知り、英国軍情報部とつながる美術商の目論む絵画奪還作戦に加わることを決意する。だが、その作戦の背後には、ある極秘計画が隠されていた。英国首相チャーチルの思惑と、ドイツ国防軍の一派の思惑が錯綜する、無謀な作戦に身を投じた不破の運命は―。故郷と矜持を奪われた男の戦いと再生を描く、小松左京賞受賞作家の新境地。

著者等紹介

平谷美樹[ヒラヤヨシキ]
1960年、岩手県生まれ。大阪芸術大学卒業。2000年、『エンデュミオンエンデュミオン』でデビュー。同年、『エリ・エリ』で第1回小松左京賞受賞。現在はSFのみならず、釣り小説、ファンタジー、怪談、時代小説など広いジャンルで活躍する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

マムみかん(*ほぼ一言感想*)

24
ナチスに略奪された美術品を奪い返すため、イギリス陸軍情報局は少人数の傭兵による作戦部隊をドイツへ潜入させる…。著者の新境地、初めての冒険小説だそうです。 留学先のパリで見た1枚の絵に衝撃を受け、絵筆を捨てスパイに成り下がった不破の再起をかけた物語であると共に、数多く存在するヒトラー暗殺計画の1つの仮説としても面白かったです! 思惑の違いからくる手違いや裏切り、次々に出る死人、ハラハラする銃撃戦などで、最後まで楽しめました。 結末は予想の範囲内でしたが、爽やかで好きです。 2012/07/19

藤月はな(灯れ松明の火)

19
本日、クリムト展に行ったのでそれに合わせました^^;クリムトが描いた蒼の「ユーディットⅩⅢ」。その絵画によって己の内心の高慢を打ち砕かれ、酒に溺れ、スパイとなった不破。独英対立による「オペレート・ユーディット」。視点があちこち、飛ぶので関係図や人物表が切実に欲しくなる。しかし、アドルフ・ヒトラーが独裁者じゃなくて当時のドイツ社会によって創られた偶像であったという描写や画学校への入学ができなくてシレーを憎みながらも政治に傾いていく描写が一人の人間でしかなかったという事実を浮かび上がらせているように感じました2013/01/29

夜梨@灯れ松明の火

12
図書館。初読みの作家。ナチスに奪われた美術品を取り戻す(というか強奪)計画の裏で同時進行する、ヒトラーの暗殺計画…と新聞の書評で読み借りてみました。フリーマントルみたいな話を想像していたのですが、ちょっと違いました。詰まらないわけでは決してありませんが、私には読みづらかったです。視点が定まらないと言うのでしょうか?話があちこち飛びすぎました。私の理解力不足なだけかもしれません。クリムトのユーディットは検索して観ましたが、ドライツェーンは、観たいような、恐ろしいような…2012/08/04

むつぞー

12
運命を狂わせた絵を手にしようと作戦に参加した日本人・不破がチームを組むのは、フランス軍を脱走したバラティエ、水晶の夜を生き延びたユダヤ系ドイツ人シュミット。彼らの視点を追い、またその作戦を知り横取りを目論む不破の部下・柴田と登場人物が増える程にどんどん主人公すら曖昧になっていきます。 もちろんエヴァ・ブラウンとヒトラーも含まれ、この物語の主人公と言えるのは「ユーディット計画」そのものと言えましょう。 第二次世界大戦期の一幕として、陰謀モノとして、冒険モノとして面白い作品でした。2012/06/16

空崎紅茶美術館

11
若い画家の命を奪ってしまうほどの作品Judithとの出会いから始まる絵画争奪戦。間諜、スパイ小説として読むと肩透かしをくらう。ひたすら美術品を求める姿に、登場人物達は全て記号に過ぎず、本当の主人公は絵画にあるのではないかと思った。語り手が転々と代わり、全体像が把握しやすい分、誰の視点にも入り込めない冷めた興奮。主人公たちの動向と、ユーディットになぞらえられたエヴァとヒトラーのやりとりに温度差があり、フィクションとノンフィクションが混ざり合う狭間のような奇妙な読後感だった。2012/07/16

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