内容説明
後楽園のゴミ捨て場に刃物で胸を一突きされて捨てられていた死体は、襟足から後頭部にかけての髪が、乱雑に、地肌が見えるほど切られていた。事件を担当するのは富坂署の三瓶と城島のコンビ。格闘技ファンの城島の指摘で、被害者がカタナというマスクマンではないか、という可能性が浮かび上がる。プロレスも格闘技も両方こなすという新しいスターだった。そして、さらに殺人が…。格闘技を真っ向から取り上げた初の本格ミステリ。
著者等紹介
伯方雪日[ハカタユキヒ]
1970年4月29日京都市生まれ。京都大学工学部精密工学科卒。在学中、シネマ研究会で自主映画を製作していた。卒業後、書店勤務のかたわら、小説を書き出し、『創元推理21』’03年春号に「必然なる偶然」を発表
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
50
再読。プロレス界で時をまたぐいくつかの人死。格闘技好きの刑事と、格闘家の青年が気付く真相と「最強」とは?強さを求めるはずなのに、八百長などヴァーリトゥードなんでもあり。ある意味最強に憑かれ、疲れたもの達の物語。まあ、連作短編だから全体でまとめた方が評価高いけど、個別で言うなら「ロープ」かな。2022/05/27
5〇5
6
~「アントニオ猪木」調で~ 元気ですかー‼ 元気があれば何でもできる。プロレスと本格ミステリの異種格闘技戦もできる。何事も踏み出せば、その一足が道となる。ただ、それにはリアルがなければならない。警察組織のリアルもね。俺はそこにもこだわってほしかった。そういう意味では紙一重の差を破れなかったね。 いくぞ! 1、2、3、不完全決着ダァーッ!2022/09/12
陽介@中四国読メの会参加中
3
前々から、格闘モノとミステリ一緒になった作品読んでみたいな〜などという無茶な願望があったので、図書館で見つけて即借りました。結論から言うと、期待してたのとは感じが違ってました。何より試合、立ち合いのシーンがほとんど無いんだもんなぁ。とは言え連作ならではの仕掛けがあったり、作者の人の狂おしいほどのプロレスに対する愛が感じられて満足でした。作品の根底に流れる、何とも言えない物悲しさが良かったです。プロレス詳しかったらもっと楽しめたかも。2013/04/08
TANAKA
2
格闘技(プロレス)×本格ミステリ、異色のコラボでありそのトライは成功しているでしょう。第三話は、完全に騙されました。本格ミステリではお馴染みのあのトリックをこう用いてくるとは。そしてバカ。第四話は、犯人こそ『世界最強』というロジックが面白い。解説も圧巻ですね。2018/05/03
zazo嶋
2
今作はプロレス。そして総合格闘技に於ける強さをミステリという フィルタを通して作者なりの思いが反映された...だけという印象の作品。実際に試合する描写はゼロに近い。プロレス思想小説ですね。 ミステリ部分のお粗末さは...書くまでもないか(笑)。2009/06/09